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2022.05.10 08:00

ネコ好きに愛される爪切り補助具「もふもふマスク」。なぜヒットした?

田中友梨

そして3つ目の「PRの柱」がオウンドメディアの活用だ。クロス・クローバー・ジャパンでは、自社のECサイトにネコを飼い始めたばかりの人たちに向けた記事を数多く掲載している。

例えば「ネコが1日に必要なごはんの量」「ネコが1日に必要な水の量」「ネコの体に負担の少ない猫砂の比較実験」など、ネコを飼い始めた初心者にはすぐに役に立つような記事を揃えており、サイトへの検索流入も多いという。

この流入してきた新規顧客になりそうな人たちにメルマガに登録してもらい、メルマガを通して商品の良さを伝えていくことで、継続的な購入へとつなげているという。現在のメルマガの会員数は3万人を超えている。

今年中には岩手から「世界」へ


まさに順風満帆のクロス・クローバー・ジャパンだが、2005年の会社設立当初は苦戦したという。競合社より価格帯が高かったこともあって、販売不振が続き、太野社長が自らアルバイトをして凌いだこともあった。

だが、前述のPR戦略のかいもあって、商品の価値が次第に全国の愛猫家に認められるようになっていった。そして今年、同社はさらなる大きな目標にも挑む。海外進出だ。

「社名には、以前からあえて『ジャパン』と入れています。それは創業間もない頃から、世界展開を目指していたからです。パートナー企業の選定も終えたので、今年中には海外進出を果たします」

ちなみに、クロス・クローバー・ジャパンの社名の由来は「4つ葉のクローバー」から。1つの葉を1事業に見立て、将来的には事業領域の異なる4事業に挑戦するための命名だという。

その最初の事業が「nekozuki」。ネコを誰よりも大切にする太野社長の「ネコのためのものづくり」は、いま岩手から世界へ羽ばたこうとしている。

文=下矢一良

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