また、「エリザベスカラー」は、ネコの長寿命化に伴って需要が高まった商品。ネーミングは16世紀のエリザベス朝時代の衣服に由来しているものだが、従来は、イヌ用で代用する飼い主が多かった。しかしイヌ用はネコには重すぎて負担が大きいため、ネコ専用のものを開発したのだという。
ネコは「室内飼い」の広がりやワクチンの接種によって、30年前の3倍ほど長生きするようになった(一般社団法人ペットフード協会調べ)。1990年代は、ネコの怪我や病気といえば、交通事故やネコ同士の喧嘩、感染症がメインだったが、現在では慢性腎不全、がん、心臓病といった病気が急増している。
こうした病気を治療するネコが増えたことで、自宅治療の一環として、獣医からの推薦などでエリザベスカラーを使用する飼い主が増えたという。2005年の発売以来5万枚近い売れ行きとなっている。
「ネコだけのためのモノづくり」を徹底するためには、「ネコ社員」のチェックも欠かせない。「ネコ社員」とは人間ではなく、太野社長が自宅で飼っているネコたちのことだ。試作品を実際に「ネコ社員」に使わせ、その様子を観察しているのだという。
「ネコ社員」のうちの1匹
「私たちの商品はすべて『ネコ社員』の厳しいチェックを経たものです。ネコたちが使いにくそうであれば、直ちにつくり直します。試作品の製作は、30回を越えることも珍しくありません。ですから、ネコにとっての使い勝手には絶対の自信を持っています」(太野社長)
社名は「4つ葉のクローバー」から
2つ目の「PRの柱」はメディアへの露出だ。これによるいちばんのメリットは、ステークホルダーの協力を得やすくなったことだという。
クロス・クローバー・ジャパンでは商品を自社開発しているものの、製造部門は抱えていない。製造は、地元の岩手で伝統工芸品を生産している企業などに委託しているが、当初は先方が「ネコ用の製品」をつくることに躊躇して、門前払いされるケースが多かったという。
「もふもふマスク」製作の様子
しかし、ヒット商品生み出した会社として多くの地元メディアに取り上げられたことで、いまでは格段に地元企業の協力が得やすくなったという。