企業理念を具体化して、従業員エンゲージメントを高めよう

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ほとんどの企業は、何らかの形で企業理念を明文化している。しかし、そこに書かれている価値観は、聞こえは良いが、詳細を欠く宣伝文句にすぎないことがあまりに多い。それだと、従業員の日々のパフォーマンスを方向付けることができない。

組織のコアバリューの一つが、チームワークだとしよう。「私たちは協力し、共に働くことで、より多くのことを成し遂げ、より多くのものをつくり出すことができる」といった感じだろうか。これは、素晴らしい包括的な企業理念だが、正直に自問してみてほしい。従業員が日々とるべき具体的な行動を理解する助けになっているだろうか?

コアバリューを実行する方法を知らない従業員が多いのは、決してあなたのせいではない。コンサルタントは、企業の経営陣に対して、企業理念は高尚かつ簡潔であるべきだと言い続けてきた。しかし、コンサルタントたちは知らなかった。現実世界の人々が求めているのは明確さだということを。人々は、スローガンではなく方向性を求めている。

筆者が創業したコンサルティング企業、リーダーシップIQの新しい調査「Why Company Values Are Falling Short(なぜ企業理念が十分ではないのか)」によると、「企業理念の実現に必要な行動」を詳述している組織はわずか24%だった。しかし、具体的な行動を本当に詳述している企業は、そうでない企業に比べて、従業員エンゲージメントが107%も高いという結果が出ている。

説得力のある数字だが、具体的な行動をどのように詳述すればよいかという問題にぶつかる。そこで、「ワード・ピクチャー」という手法を紹介しよう。行動を明確に言語化し、コアバリューに沿った行動とはどのようなものかを、「Needs Work(要改善)」、「Good Work(良い)」、「Great Work(素晴らしい)」の3段階に分けて従業員に伝えるというものだ。

3段階に分けることにより、その価値観を実現するにはどのような行動が必要なのか、逆に、どのような行動が価値観に反するかを、正確に伝えることができる。

チームワークという企業理念を例に説明しよう。先に紹介した「私たちは協力し、共に働くことで、より多くのことを成し遂げ、より多くのものをつくり出すことができる」は、典型的な役員会バージョンだ。しかし、ワード・ピクチャーで具体的な行動を指定すれば、チームワークのコアバリューは、はるかに詳細なものになる。具体的な内容としては、以下のようなものが考えられる。
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翻訳=米井香織/ガリレオ

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