回避策:「質の高い顧客課題」を見つける
顧客が興味を持たない理由は、自分の課題と関係があると思えないから。必要なのは「質の高い顧客課題」を発見し、これを解決するソリューションを開発することだ。
私が顧客課題を知るために用いる問いは次の3つ。
【質の高い課題の要素】
1. その課題について顧客が強い痛みを感じているか。
2. その課題を解決する既存のソリューションが有効か。
3. 同様の課題を抱えている顧客の数は多いのか。
これらを探るためには、デプスインタビュー(インタビュアーが対象者と一対一で対話する)が有効だ。
特に、シードステージでの資金調達では、「有望な顧客課題を対象にしているかどうか」を投資家は重要視する。これを覚えておくと、失敗する確率は下がる。
失敗あるある2:お金を使いすぎる
トラクションが出て、売り上げが上がるころには最初の資金調達が完了しているだろう。この時期に起こることとしては「使える以上のお金を使ってしまう」ことだ。個人のお金は「使ったタイミング=払うタイミング」だが、法人の場合は月末締めの翌月末払いというのが一般的。
また、税金や社会保険料など、年に1〜2回支払いのタイミングが来るものもある。実際、「今月社会保険料を払わないといけないが、忘れていた」という言葉を聞いたことは1度や2度ではない。
事業開発として悪くなくても、お金の問題で開発が大幅に遅れたり倒産してしまったという会社は少なくないのだ。
回避策:月次の試算表を必ず作る
策はシンプルで、創業期から月次の試算表を必ず作ることだ。
「試算表とは何か?」
会社を作ると年に1回決算がある。その年度でどれくらい儲かったか、損をしたのかを表す「損益計算書」、現在時点でどれくらいの資産や負債があるのかを表す「貸借対照表」などを作成して1年の活動をまとめる。
この損益計算書と貸借対照表を作るもとになるものが試算表で、これを月々で集計したものが月次試算表だ。
この試算表を作る過程で必要になるのが「収益」や「費用」の認識。先程も触れた通り、法人の場合「手元の現金=使えるお金」ではない。
資金繰りで倒産する会社のほとんどが、この経理業務を税理士に丸投げしている。私は創業期であっても月に1度は整理をし、自社のお金の出入りを肌感覚として養うべきだと考えている。感覚を養うためには、整理のタイミングで、この取引は収益になるものとして認識しても良いのかとか、費用として認識しておかねばならないものか、といったことを仕分けすると良い。
借入にせよ、資本調達にせよ、月次の試算表の作成は資金の出し手から求められ、かつ、その内容について説明ができなければならない。最初は苦しいかもしれないが、創業期から作ることを強くおすすめしたい。