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2022.04.27 12:30

有名企業が取り組むプラ新法。デジタル包装? その工夫とは


材料変更:木材や紙への代替、バイオプラは市場拡大


材料に関しては、以下4つの項目による対応が求められている。


プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」について:経済産業省・環境省資料より

まず、プラスチック以外の素材への代替では、木材製品や紙製品への切り替えが代表的だ。同時に、コンビニや外食のテイクアウトなどで配布されるカトラリー類など、ただちに削除または有料化すると消費者の利便性を損なうと捉えられているものを中心に、プラスチックの提供を継続しながら素材を*バイオプラスチックにする動きも目立つ。

*バイオプラスチックは、生分解性プラスチックとバイオマス由来プラスチックの総称

米調査会社Report oceanによると、世界のバイオプラスチック市場は年率12.8%成長し、2030年には145億米ドルに達すると予測。日本でも、環境省が「バイオマスプラスチック導入ロードマップ」を策定し、バイオマスプラの利用促進や消費者への訴求、研究開発を支援している。リコーはバイオマス由来で生分解性(コンポスタブル)を持つポリ乳酸(PLA)を活用した新素材の発泡PLAシート「PLAiR(プレアー)」を開発、このほどテスト販売をスタートさせた。緩衝・梱包材料から商品トレイまで幅広く対応できるため、緩衝資材商社や食品容器メーカーから多くの問い合わせがあるという。

使用済みプラスチックやフィルム容器を水平リサイクル


また、再生利用がしやすい材料の使用も求められており、各社は私たちの暮らしに身近な製品で取り組みを進めている。

このうち、コカ・コーラは2030年を目指した新たな環境目標「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」で、2025年までにすべての容器包装をリサイクル可能にするとともに、2030年までに容器包装の50%にリサイクル材を使用する方針を表明。その上で、2030年までに全飲料の25%以上を詰め替え・返却可能なガラスまたはプラスチックボトル、充填機による詰め替え用容器で販売することを目指すとしている。キリンホールディングスと三菱ケミカルは、ケミカルリサイクルでペットボトルをペットボトルへ再資源化するために必要な技術検討と回収プログラム構築を共同で行っている。

同業他社などとのアライアンスによって、プラスチックの再生利用を進めようとする動きも目立ってきた。

花王はユニリーバ・ジャパンやライオンといった同業他社とともに、ボトル容器やフィルム容器の回収、リサイクル実証実験を国内各地の自治体との連携で進めている。サントリーホールディングスなどは、回収プラスチックの選別処理から、包装容器製造、商社、飲料メーカーなど業界横断で使用済みプラスチックの再資源化事業に取り組む共同出資会社アールプラスジャパンを設立。2027年に使用済みプラスチックの再利用の実用化を目指す。

再生プラスチックの活用


ソニーは2010年以降、独自開発の再生プラスチック「SORPLAS™」を主に内部部品で使用してきたが、部品の設計を見直し、材料物性や成型条件などの改善を行いながら、テレビの大物部品である背面カバーに採用できる材料を開発。これにより、製品の梱包を含めたバージンプラスチックの使用量を従来比で最大約50%削減できたとしている。

プラスチック使用製品設計指針は、このようにプラスチックを製造、使用する事業者にさまざまな設計対応を求めている。その一方で、例えば資源回収やリサイクルに時間とコストをかけすぎることでかえってエネルギー使用量の増加やそれに伴うCO2排出量の増加を招くといった、いわゆるトレードオフの関係となる可能性に留意すべきともしている。その判断を適切に行うためにも、製品のライフサイクルアセスメント(LCA)が必要となってくるのだ。この点は、製品のライフサイクル評価を同法は促している。
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文=木村 麻紀

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