経済協力開発機構(OECD)の報告書によると、再生プラスチックの市場規模は、一次プラスチック市場のわずか10分の1(※)。再生プラスチックの利用拡大を図るには、リサイクル技術の発展だけでなく、安定した需給の実現が不可欠だ。需要者と供給者を結び付ける、橋渡し機能の強化が重要になる。
アラブ首長国連邦(UAE)の投資持株会社である「International Holding Company(IHC)」は、2022年1月、再生プラスチックのグローバル取引プラットフォーム「Rebound Plastic Exchange」を立ち上げると発表した。同社の子会社である「Rebound Ltd」が、2022年半ばにサービスの提供を開始する予定だ。
Rebound Plastic Exchangeは、再生プラスチックのトレーサビリティを確保するために、デジタルパスポートの仕組みを導入。安定した品質の再生プラスチックを調達できるという信頼を構築し、需要者と供給者がスムーズに取引できる世界を目指す。
再生プラスチックを持続的に供給するには、高度なリサイクル技術が求められるが、国によってはその技術が定着していないこともある。Rebound Ltdは、そういった国々も同プラットフォームを利用することで、再生プラスチック市場に参入できるというメリットを挙げている。
630万トンの再生プラスチックが不足
同社によると、様々なグローバル企業が再生プラスチックの使用比率を引き上げる目標を掲げるなか、630万トンもの再生プラスチックが不足しているという。同社は、2025年までに、Rebound Plastic Exchangeで500万トンの再生プラスチックが取引されると見込んでいる。
再生プラスチックの優良な供給先の確保を急ぐ企業にとって、供給者を束ねてくれるプラットフォームは便利ではないだろうか。限りある資源を、繰り返し使い続けることが当たり前な社会になってほしい。
※:プラスチックを取り巻く国内外の状況(環境省)
【参照サイト】 Rebound – Transforming the plastic waste recycling system
※この記事は、2022年2月にリリースされたCircular Economy Hubからの転載です。
(※上記の記事は、ハーチ株式会社が運営する「IDEAS FOR GOOD」より転載された記事です)