ビジネス

2022.04.27

有名企業が取り組むプラ新法。デジタル包装? その工夫とは


リデュース:デジタルパッケージという考え方も


そして何よりも、プラスチックの使用そのものを絶対的に減らす工夫を怠ってはならないことを意識したい。

英国発フレッシュハンドメイドコスメブランド・Lush(ラッシュ)はこれまで、ソープなどの固形アイテムの包装を行わない「Naked(ネイキッド)」とともに、プレゼント包装を用意せずに「Knot Wrap(ノットラップ)」と呼ぶリサイクルPETやとオーガニックコットン製のオリジナル風呂敷を販売するなど、ブランド側からのプラスチックの提供を極力なくす取り組みを続けてきた。

今や日本での展開商品の40%がネイキッドのため、成分などのラベル表示が必要最低限となっている。そこで同社は、独自開発したアプリ「Lush Lab」内の「Lush Lens」という機能を通じて、店内の商品にスマートフォンをかざすと、原材料情報とともに商品の使い方やバスボムなどの溶け方が動画コンテンツとして表示されるようにしている。同社は「私たちはデジタルパッケージと呼んでいますが、包装がなくても紙で表示する以上の分量でより付加価値のある情報を提供できています。お客様は宝探しのようにゲーム感覚で店内を回遊されています」(アースケアチーム)と話す。


Lush Lensをバスボムにかざす様子。Lushは48カ国・地域で店舗展開しているが、Lush Labは日本で一番使われているのだという。(提供:ラッシュジャパン)

同社は、プラスチック容器でのリサイクル材の使用や空容器の店頭回収・水平リサイクルについても、それぞれ2008年と2010年からすでに始めている。

2021年9月からは循環型容器返却プログラム「BRING IT BACK(ブリング・イット・バック)」に新たなスキームを追加し、使用済みの容器を1個から持参でき、会計時に容器1個につき30円として利用できるようになった。同社によると、2010年の容器回収開始以来、社内利用した商品容器も含めて同社全体では累計約237トンの再生プラスチック容器を水平リサイクル。昨年度の容器リサイクル率は22.2%(重量換算で18トン)となった。


使用済み容器を店頭で返却する様子。リサイクル率を上げるためにお客様にお願いしたいことをウェブサイトでも伝えている(同)

同社は今回のプラ新法について「使い捨てよりも循環性が高まることにつながり、消費者のライフスタイルの見直しにもつながるはず」と評価した上で、「英国では、4月から再生材使用率30%未満のプラスチック包装材への課税が始まっています。日本でも、リサイクルプラスチックの使用率向上につながる対策を打ってほしい」と期待感を示している。

【参考情報・記事】

BRAVIAの環境配慮(ソニーホームページ)
DNPモノマテリアル包材(DNPホームページ)
生分解性プラスチックの課題と将来展望(三菱総合研究所)
植物由来発泡シート「PLAir」(リコーホームページ)




※この記事は、2022年4月にリリースされたCircular Economy Hubからの転載です。

文=木村 麻紀

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