ファミリーコンピュータのようにテレビに繋がなくてもプレイできるゲームボーイは、ゲーム好きの子供たちの心をがっちり掴み、爆発的なヒットを記録しました。
実は、任天堂から発売された初の携帯型ゲーム機は「ゲーム&ウォッチ」と呼ばれる、ゲームソフトが本体内のROM(読み出し専用メモリ)に書き込まれたものでした。1980年に発売された商品ですが、昨年11月に画面がモノクロからフルカラーにリメイクされ、「ゲーム&ウオッチ ゼルダの伝説」として発売され、大きな話題となりました。
携帯型ゲーム機とファミリーコンピューターの異なる点は、前者には液晶ディスプレイがついていることです。ゲーム&ウォッチの開発が始まった1970年代は、大小問わず多くの企業が電卓市場に参入していた時代でした。
液晶ディスプレイの開発に苦戦していた任天堂は、当時、電卓に必要となる高い液晶技術を有していたシャープの協力を得て、1989年にゲームボーイを完成させます。
当時の液晶はカラーが主流でしたが、ゲームボーイの液晶にはモノクロが採用されました。理由について、当時の任天堂の社長であった山内溥氏は、カラー液晶は太陽の下では見えにくいこと、電池の寿命についてもカラーはモノクロの10分の1ほどしかなかったことを挙げています。新しいものを取り入れることばかりに気を取られず、徹底したユーザー視点での開発が成功を収めるカギとなったのです。
モノクロの液晶ディスプレイを持つ「ゲームボーイ」シリーズは、2003年に「ゲームボーイライト」と「ゲームボーイポケット」を最後に、生産を終了。液晶ディスプレイのカラー化を図り2005年に販売された「ゲームボーイミクロ」まで続きました。
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