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2022.04.15

米小売業界が注目の鍵付き陳列ケース、「不評」でも普及は確実?

Glevalex / Shutterstock.com


売上減少の可能性も


商品を鍵付きの陳列ケースに並べることは、消費者には不評だ。小売業者は、それを理解している。前出のブーダーノによれば、そのような陳列方法を導入すれば、売上高はそれまでより15~25%減少するという。

そのため小売店は、物理的に万引きを防ぐための対策を講じるのと同時に、顧客の不満解消にも力を入れている。例えば、ウォルマートは今年に入り、従業員がスマートフォンを使って開錠できる新たなタイプのロック付き商品陳列ケースを試験導入した。

そのほか、個人情報を提供した顧客は自分で開錠できるシステムを試験的に取り入れている小売店もある。これは、インダイムが昨年発売した「フリーダム・ケース(Freedom Case)」と呼ばれる陳列ケースで、顧客の携帯電話の番号やロイヤルティカードにより、あるいは顔認証によって、ケースを開けられるようになっている(従業員を呼び出し、開錠を求めることもできる)。

ケースが開けられた後は、カメラや人工知能(AI)により、不審な行動がないかを確認。それらを察知すればアラームを鳴らし、従業員に通知する仕組みになっている。現在のところ、このケースは20カ所で試験導入されており、2023年には、インダイムの売上高の20%を生み出すようになると期待されている。

施錠できる商品陳列ケースは、当初はサンフランシスコなど、窃盗の被害が多発していた大都市での需要が高かった。だが、最近では都市部での犯行が難しくなったことを受け、被害は郊外や地方の店舗にも拡大している。

編集=木内涼子

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