残念なことに、熱意あふれるプロフェッショナルの多くは、この決まり文句に従っている。そして、多忙なのは名誉の印だと思っているかのように、回し車をぐるぐる走るハムスターよろしく働き続けている。
けれども、キャリアを加速させる意外な方法があることを、彼らは知らない。その方法とは、スピードを落として余裕を持つことだ。
気分を改善し、ウェルビーイング(心身の幸福)全般を向上させ、パフォーマンスを高めるうえでは、ひと休みするのが必要不可欠であることは、研究で証明されている。ところが、忙しく働くことにかまけていると、その忙しさをなかなか中断できないことがある。
キャリアを加速させるためには、減速し、ひと休みすべきだ。その証拠がほしい人のために、出世を目指すプロフェッショナルにとって、「ひと休みの威力」が秘密兵器になる理由を5つ説明しよう。
1.過剰反応しなくなる
あくせく働いていると、自分のところに問題が転がり込んできたり、誰かが割り込んできたりした場合に、本能的に、すぐさま対処したくなるかもしれない。同意できないことや理解できないことであれば、なおさら急いで何とかしようと考える。
しかし、必要以上にすばやく反応し、慌てて発言したり行動したりすると、のちのち後悔することになりかねない。
何かが起きてもすぐに反応せず、心の中の一時停止ボタンを押そう。そして、ワンテンポ置いてから、目の前の情報を消化・検討しよう。
対処へと動き出す前に、次の3つの質問を自分に問いかけてほしい。
・この考えを口に出して言う必要があるのか。
・自分がこの考えを言う必要があるのか。
・自分がいま、この考えを言う必要があるのか。
一時停止すると、態勢を立て直す時間の余裕が生まれる。そうすれば、ただちに考えを口にする必要はなく、じっくり考え抜いたうえで対処法を決めても問題がないことに気がつくだろう。もしかしたら、対処する必要など、まったくないかもしれない。
2.創造性があふれ出てくる
減速することなく突き進んでいると、創造性を発揮するのは難しい。まわりから次々と要求を突きつけられ、耳を覆いたくなるような雑音に囲まれた環境にいるかもしれないが、創造性を発揮したければ、自分の内面に目を向け、深く考えることが必要不可欠だ。
研究によれば、人は休息をとっているとき、心が当てもなくさまよう。そうやって空想しているときにこそ、創造力が高まり、問題解決力が向上し、より革新的な考えがひらめくのだ。