ビットコインは1日あたり500億ドル相当のトランザクションを処理しているが、処理スピードが遅いのが難点だ。Visaは1秒あたり6万5000件の決済を処理するが、ビットコインのネットワークは1秒に数件のトランザクションしか処理できない。
ライトニングラボは、2016年以来、ビットコインのレイヤー2ソリューションである「ライトニングネットワーク」を開発することで、その問題の解決に取り組んできた。
カリフォルニアに拠点を置く同社は、ライトニングネットワークを採用するアプリ上で、ステーブルコインの使用を可能し、「ドルのビットコイン化」を促すプロトコルの「Taro」を4月5日に発表した。
ライトニングラボの共同創業者でCEOのエリザベス・スターク(Elizabeth Stark)は、このビジョンを実現するためにシリーズB資金調達を実施した。今回の調達は、テスラとスペースXの初期投資家として知られるValor Equity Partnersと、ベイリーギフォードが主導した。
他の著名な投資家には、ロビンフッドのCEOであるVlad TenevやNYDIG、SilvergateのCEOのAlan Laneらが含まれている。ジャック・ドーシーからの支援も受けるライトニングラボは、2020年に1000万ドルのシリーズAを実施していた。同社は、最新の評価額を開示していない。
2018年に始動したライトニングネットワークは、現在3万以上のノードを介して運用されており、安価で高速なビットコインの取引を可能にしている。
ツイッターも「チップ機能」に採用
すでに300社以上の大手企業やスタートアップが、ライトニングネットワークに参加しており、先日は暗号通貨取引所のクラーケン(Kraken)も独自のノードで参加した。さらに、昨年9月にツイッターが導入したビットコインでチップを送るアプリのStrikeも、このネットワーク上に構築されている。
スタークは、ライトニングネットワークの拡大に向けて、Taroのプロトコルで米ドルに紐づくステーブルコインを利用可能にする。同社は、すでに複数の大手企業と、ステーブルコインの発行についての協議を進めているという。
スタークは、その詳細を開示することを避けたが、TaroのプロトコルはNFTを含む様々な種類の資産をサポートできるという(ただし、同社自体は、NFTに対する積極的な取り組みは行わないという)。
ライトニングラボのTaroの導入は、ブロックチェーンの可能性を解き放つための最新の取り組みだ。2月には、ビットコインと連携したスマートコントラクトネットワーク「Stacks」の共同創業者のMuneeb Aiが、NFTなどのアセットをビットコインに取り込むために1億5000万ドルを調達していた。
Taroの導入は、ビットコインの最新の大型アップグレードのタップルート(Taproot)にも後押しされている。タップルートは、スケーラビリティ問題を解決し、スマートコントラクトの実装を容易にすることが期待されている。