「絶望」する米国の高校生、コロナ禍で半数近くに増加

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米国では新型コロナウイルスのパンデミックが発生して以降、常に絶望的な気持ちでいたり、自殺を考えたりしている高校生が大幅に増加していることが分かった。パンデミックは、それ以前から若者たちの間に広がっていたメンタルヘルスの“危機”を、さらに深刻な状況にしたとみられている。

米疾病対策センター(CDC)は3月31日、パンデミック発生後に初めて全米の高校生を対象に実施した調査の結果を発表。それによると、日常の活動に支障をきたすほどの「悲しみや絶望感」を常に抱いている生徒の割合は、2019年は36.7%だったものの、2021年には44.2%に急増していた。

精神面での苦痛を訴えるのは、性的指向がストレート以外の生徒の方が多く、レズビアン、ゲイ、バイセクシャルの生徒は75.7%、クエスチョニングの生徒は68.7%が、常に「悲しみや絶望」を感じると訴えていた(ストレートの生徒では36.7)。

そのほか、自殺を試みる危険性は、女子の方が男子の2倍以上高いことも分かった。自傷行為は若年の女性に多くみられることが報告されており、それが反映された結果だとされている。真剣に自殺を考えた生徒に占める女子の割合は、2019年の18.8%から、2021年には19.9%に上昇していた。

2009年には、常に「悲しみや絶望」の感情があると答えた高校生の割合は26.1%だった。また、真剣に自殺を考えたことがあるという生徒は13.8%だった。どちらの数値もその後、大幅に上昇したことになる。

また、パンデミック発生以降、「学校の課題をこなすのが難しい」と考える生徒の割合は、66.6%に増加していた。特にレズビアン、ゲイ、バイセクシャルの生徒は74.4%、アメリカ先住民・アラスカ先住民の生徒は72.4%がそう回答していた。学業に支障をきたしている要因には、親からの精神的な虐待、親の失業、食料不安などが挙げられている。

調査は2021年1~6月、全米の128校の生徒(公立・私立の学校に通う9~12年生)を対象に実施。7705件の回答から得たデータを分析した。
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編集=木内涼子

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