「絶望」する米国の高校生、コロナ禍で半数近くに増加

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危機の背景


すでに2019年には高校生たちの間に広がりをみせていたメンタルヘルスの危機に、新型コロナウイルスのパンデミックは“圧倒的”な影響を与えたと考えられる。

状況を一層悪化させたのは、メディアが若者たちの自尊感情をむしばんできたことだとされている。公衆衛生政策を指揮するビベック・マーシー医務総監は、「若者たちはメディアから、魅力がない、人気がない、経済的に豊かではないと言われ続けた」と指摘している。

メンタルヘルスに関する問題について、その原因を一つに絞って特定することは困難だ。そうしたなかでマーシー医務総監は、(コロナ禍でも)安全に学校の授業を再開すること、の貧困を減らすこと、安価で質の高い心のケアへのアクセスを拡充させることによって、生徒たちの精神的緊張を和らげるよう努めることを推奨している。

世界的な問題


米国立衛生統計センター(NCHS)によると、2020年に自殺で死亡した10~24歳の若者は、6627人となっている。だが、若者のメンタルヘルスの危機は、米国だけに起きていることではない。

小児科学の医学誌JAMA Pediatricsに2021年に発表された論文によると、世界各地で行われた29件の研究の結果を分析したところ、パンデミックの発生以降、若者の不安障害とうつ病の有病率は、2倍に上昇していた。

それぞれの研究によって、結果に差異はあったものの、全体として不安障害は女子に最も多く、うつ病はより成人に近い年齢の未成年に多くなっていたという。

編集=木内涼子

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