・屋外で過ごすライフスタイル
北欧よりも南に住む人の多くは、冬季の日照時間が非常に少ない地域で幸せな生活が送れることに疑問を思うかもしれない。しかしフィンランド人は、国内に多数あるサウナなどで、冬を最大限楽しんでいる。
ヘルシンキ・タイムズは「突然フィンランドの冬の気候を体験するとヒステリー寸前になる国もあるだろうが、フィンランド人は冬に適応するだけでなく、その中で繁栄することを学んできた」と書いている。
これは北欧全体に当てはまる。作家のロルルー・デジャルダンはTEDxの講演で、「friluftsliv(フリー・ルフツ・リーブ)」の概念を説明した。これは簡単に言えば、「屋外のライフスタイル」という意味だ。
デジャルダンはこの考え方を、自然の中で質素な生活を送る哲学と表現している。こうした生活には大掛かりなイベントは必要なく、「日曜日に家族と森をハイキングしたり、週末に友人とスキーをしてキャビンを回ったり、祖父と穴釣りに出かけたりといったこと」で十分なのだという。
・異議を唱える人も
北欧諸国は、この世界幸福度報告書を含め、生活の質に関するさまざまな調査で常に上位に入っているが、誰もがその結果に同意しているわけではない。
フィンランドの首都ヘルシンキ在住のユハ・ローヒコスキは欧州ニュース専門放送局ユーロニュースに対し、「世界で最も幸福な人々に関するこうした報告書は、こちらではちょっとした笑いを誘うものだ。なぜなら、正直言って正しくないと思えるためだ」と述べた。
ローヒコスキは、フィンランドの真冬の「暗黒を明るくする」ため考案された光の祭典ルクス・ヘルシンキ(Lux Helsinki)の芸術監督だ。彼いわく、「フィンランド人はおしゃべりではなく、孤独を好む性格だ」という。
北欧では、メンタルヘルスの問題がしばしば指摘される。ただ、主に若者を対象に、うつなどの心の病に対処するための積極的な取り組みも多く行われている。
フィンランドの男性の自殺率が他の北欧・西欧諸国と比べて高いこともよく指摘される。しかし、こうした指摘の多くは1990年のデータに基づくものだ。フィンランドの自殺率は世界平均と比べて低く、最近では1990年比で半分以下まで下がっている。