テラモーターズは、国内のみならずベトナム、インド、バングラデシュなどアジア圏の電動バイク市場でシェアを持つ。今回発表したテラチャージは、EV向けの充電サービスだ。
充電設備だけでなく、充電時間の設定や料⾦決済を⾏う専⽤アプリ、設置に伴うマンション管理組合等への説明、設置⼯事などをパッケージで提供するといい、初年度は1000棟の建物に1000台設置することを目指す。
徳重徹CEOは、充電事業参入の理由について次のように説明した。
「2015年以降、欧州は完全にEVにシフトしました。現在、新車販売の20%以上がEVという状況です。対する日本は1%以下。中国や米国、インドなどもEVシフトを加速させるなか、日本と世界の差はより鮮明になりつつあります。
出遅れた日本では、自動車メーカーも儲からないので投資がなかなかできない。ユーザーも、購入したいがインフラが整っていないという、卵が先か鶏が先かの状況が生まれています。
EV充電事業は収益化までに時間がかかるうえ、大規模な資金が必要であるためベンチャーにとって敷居が高い。
だからこそ、資金調達能力に長けたテラモーターズがやるべき事業だと考えています。日本の状況に風穴を開けていきたい」
マンション資産価値向上に
同サービスの特徴のひとつは、通常、数⼗万〜数百万円の費⽤がかかるEV充電設備の導⼊が無料で行えることだ。
マンションや施設などにとっては、設備を気軽に導入でき、資産価値向上にもつなげることができる。
充電設備にはパナソニック製の「EVスマートコンセント」を採用。通電管理が行えるなどIoT化されている。
コンセントは、固定式普通充電器(約20万円)、急速充電器(約300万円)などの種類があるが、テラモーターズが提供するEVスマートコンセントは1~2万円と低コストで設置が可能だという。
ユーザーの利用料金は1時間あたり150~200円が想定されており、テラモーターズの収益となる。電気料金の実費はテラモーターズからマンション側に返還される仕組みだ。
「初期の段階では1棟1台という形で着実に設置を増やしていく計画。世界と同じように日本でEVシフトが鮮明になり始めれば需要は高まり、ひとつの施設の設置台数も増えると考えています」(徳重氏)
テラモーターズでは、オフィスビルや商業施設と事業提携についても模索中だという。国内自動車メーカーと協力し、EV事業でシェアを持つインドや東南アジアへ事業拡大を図ることも念頭に置く。
徳重氏はグループ企業でドローンの機体やソフト開発を手掛けるテラドローンのCEOも兼務。3月23日には、無人航空機の管制システム開発のため80億円の資金調達(シリーズB)に成功している。
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