デザイン性あふれる「ふりがなハンコ」
ふりがなハンコは、漢字の脇にふりがなのルビが彫りこまれており、捺印した際に漢字とふりがなが同時に印字される。通常のハンコの場合、捺印する麺んは名字の漢字だけが彫り込まれていることが多いが、ふりがなハンコの場合、購入時に彫り込む漢字とふりがなを自由に選べるため、キラキラネームの人でも自分の名前を彫り込んだ専用のハンコを手に入れることができる。
提出書類や申請書などに捺す本人確認としての用途以外にも、名刺の隅に捺印することで名刺交換時に名前の読み間違えを防げたり、企画書や決裁印などにサイン代わりに捺したりといった活用方法がある。
デザインも販売元によって様々だ。
ハンコ業界大手のシヤチハタ(愛知)が販売している「ふりがな印」は、見た目は通常のハンコと同じ形をしているが、印字する文字を縦書き、横書きの2種類から選べるほか、ルビの位置を漢字の左右に配置したり、漫画のような吹き出しに入れて強調するなど計7種類から選ぶことができる。文字の書体は楷書体、角ゴシック体、丸ゴシック体の計3種類。印字するインクも赤や紫など7色から選べるため、デザインの自由度が高く、ハンコに個性を出すことができるようになっている。
シヤチハタ
ハンコの製造、販売を手がける日章(山梨)のふりがなつき印鑑「Myルビー」の場合、文字の書体は楷書体や丸ゴシック体など5種類。漢字とふりがなの配置は上下や左右、漢字と漢字の間にふりがななど計5種類となっている。また、印字できる文字が漢字は最大4文字、ふりがなは最大8文字となっているため、文字数が許す場合はフルネームの印鑑も作成することができる。
日章
※Myルビーは実用新案/登録第3222326号、商標登録/第6254150号を受けています
読み間違えやすい名字の人にもおすすめしたいふりがなハンコ
ふりがなつき印鑑が役立つのはキラキラネームの人だけではない。名前を読み間違えられやすい名字の人にもおすすめだ。
例えば「山崎」という名字。「やまさき」と読む場合と「やまざき」と濁る場合とがあるが、声をかける際に読み間違えたり、読み間違えられたりした経験は誰しもあるだろう。他にも「萩原(はぎわら)」と「荻原(おぎわら)」などのよく似た紛らわしい漢字、「上田(かみだ)」「伊藤(いふじ)」など音と訓の組み合わせが珍しい名字、「小鳥遊(たかなし)」「四月一日(わたぬき)」といった、いわゆる難読漢字が名字に使われている人も、ふりがなつき印鑑を使用することで、相手の読み間違えを防ぐことができる。
逆風のハンコ業界
新型コロナウイルスの流行でリモートワークや出勤調整が進み、業務の効率化や働き方改革の面から、「脱ハンコ」に舵を切った企業も多い。2020年11月には当時の河野太郎行政改革担当大臣が行政手続きにおける「認印の全廃」を発表。押印が必要な約15000件の行政手続きのうち、不動産登記など一部の手続きを除く99%の手続きでハンコが不要となるなど、長らく日本に根付いてきたハンコ文化は今、逆風にさらされている。
そんな中、新たなハンコの使い道として登場した商品の一つがふりがなハンコだ。ハンコを使う機会は減ってもハンコ文化がなくなったわけではない。むしろ別の使い道を求めて進歩を続けている。就職や年度代わりのタイミングでハンコを購入し、新年度をハンコとともに歩くのも悪くはないのではないだろうか。