世界の坂茂が設計。名古屋のエグゼクティブが新社屋にサウナを作った理由

名古屋の企業「タマディック」の新社屋最上階にあるサウナ


2021年末、待ちに待ったビルがついに竣工。非常階段が印象的なファサード、ロビーや共有スペースにも坂茂デザインの家具が設置され、約200人の従業員が、ほど近いオフィスビルの旧オフィスからこちらに移り毎日勤務している。



サウナ好きの縁で、僕も先日こちらに伺わせてもらってきた。木造の柱が独特の存在感を放つビルのエントランスで森實さんと合流。エレベーターで最上階の8階に向かい、イベントスペースや社員のみなさんが食事をする場所として使っているホールを通りぬけ、お目当てのサウナに。

サウナの名前は「Luova Sauna」。Luovaとはサウナの聖地であるフィンランドの言葉で「クリエイティブ」といった意味をもつ。サウナに入ってクリエイティブなアイデアを出していこうという森實さんの思いが籠ったネーミングで、弟さんが手掛けたというサインがエントランスに設置されている。



ちなみに、フィンランドではオフィスにサウナが設置されていることも珍しくなく、駐日フィンランド大使もLuovo Saunaをすでに視察に訪れているという。

入り口すぐの更衣室で紙パンツに着替え、いよいよ待望のサウナに。フィンランドのサウナメーカー「HARVIA」の大型のストーブが設置されたL字型の空間は、壁が一面鏡になっていることでさらに広々と感じられる。角が丸くRに加工されたベンチ・天井が坂茂らしい柔らかい空間を演出して、”ととのう”ための体制が万全に備えられている。

サウナ用アロマオイルも常備しており、森實さんが「ヘルシンキで一目惚れして購入した」という柄杓でいろいろな種類の香りのロウリュウが愉しめる。そしてサウナを出たあとは、この場所のために設計された総檜の水風呂にドボン。90cmと深めの設計で頭までゆうゆうと浸かれて気持ちいい。そこから窓際に設置されたととのい椅子で悦楽の時間を過ごす。



出張のときには僕もカンデオホテルやドーミーインなどサウナ付きのホテルに泊まることが多く、起き抜けにも、リモートワークの合間にもサウナに入れる幸せに浸るのだが、サウナーとしては、「オフィスにサウナがあるってだけで出勤したくなってしまうかも」などと想像してしまい、それだけで幸せな気分になった。

オフィスサウナはひとつのツールに


タマディック従業員のサウナー比率はまだ決して高くなく、森實さんは「これから啓発していく」と言う。この日も、これまであまり体験したことがなかったという技術職の社員の方々が「サウナ→水風呂→ととのい椅子」のステップをこなし、その気持ちよさに驚いていた。


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文・写真=山本憲資

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