クアルコムは先日、IoTの分野で昨年10億ドルの売上をあげたことを発表した。
5月14日のサンフランシスコのイベントで、同社は「都市インフラのプロジェクトや家庭用電気製品、自動車やウェアラブル端末向けチップの販売額が10億ドルに及んだ」との発表を行った。
昨年1年間で同社のチップを搭載した家庭用スマートデバイスの出荷個数は1億2000万個。さらに、2000万台の自動車、20種類のウェアラブルデバイスにクアルコムの半導体が使用されている。
半導体メーカーらは現在、スマートフォン市場で多大な売上を得ているが、クアルコムの予測によると、2015年はスマートフォン以外での売上が10%以上に及ぶという。
クアルコムは現在、Snapdagonプロセッサを、携帯電話や自動車、スマートウォッチに向けに提供している。「今後はSnapdagonを自動車向けにも活用していく」と同社社長、Derek Aberleは語った。
IoT関連の競争は激化しつつある。サムスンは先日、Artikと呼ばれる半導体セットを発表したが、これもIoTデバイスを対象としたもの。インテルも昨年、IoT関連で20億ドルを売り上げたと発表したが、この数字には同社の雑多なソフトウェアやクラウドサービスの売上も含まれる。それに対し、クアルコムの10億ドルという売上はIoT関連のみの数字だ。
スマートフォンのビジネスと違って、IoTの市場はAppleやサムスンといった少数の支配的企業に独占されていない。時計やサーモスタット、スマート電球といった様々な分野で小規模な企業間の競争の激化が予想される。
クアルコムは今回IoTデバイス向けの新たなチップを発表した。その一つが「単体でネット接続可能なWiFi チップ」、さらに「ハブ機能付きのWifiチップ」だ。この、ハブ機能を持つWifiチップは複数のデバイスの中継点となり、スマートホームハブとして理想的な仕様と言える。
クアルコムはIoTという用語を好まない。同社では“Internet of Everything(IoE:あらゆるもののインターネット)”と呼ぶことを好んでいる。
「この呼び名のほうがコンセプトを捉えている」と、統括責任者のRaj Talluri
は語る。
「ただし、それでもなお誤解を与えるかもしれない。世の中に“スマートフォン用プロセッサ”というのはあっても、“IoE用プロセッサ”という商品カテゴリがあるわけではないんだ。そこはもう少し明確にすべきだ」