ロシア政府による検閲は、より厳格なサイバー法導入後の2018年と、ロシア政府の工作員が反体制派の指導者アレクセイ・ナワリヌイを毒殺しようとした2020年~2021年に最高水準に達した。
ロシアは、「グーグル透明性レポート」サイトで提供されている最新のデータである2021年前半、グーグル検索やグーグルニュース、グーグルのアプリストア、ユーチューブなどから20万件以上の項目を削除するため1万9000件近くの申請を行った。
各国政府は国の法律に応じ、グーグルが提供あるいは掲載すべきでないと考えられるさまざまな項目について同社に打診することができる。削除の理由には著作権侵害や名誉毀損(きそん)、詐欺、ヘイトスピーチ、わいせつな内容などがある。
各カテゴリーに該当する具体的な違反はその国の法律によって異なる。その国の法律に基づく裁判所命令も、政府がグーグルにコンテンツ削除を依頼するもう一つの方法だ。
ロシアの場合、グーグルに提出される削除申請の圧倒的大部分は情報通信当局によるもので、同国が不適切と考える情報をインターネット上から消し去ろうとする取り組みが組織的なものであることが示されている。最近では、ロシア政府機関からの申請の96%が留意されていた。
ロシアでは、グーグルのコンテンツ削除依頼の数が他国よりはるかに多い。この事実からは、同国政府がいまだにインターネットの検閲を完全には握っていないものの、今後はこのような方向に進む可能性があることを示唆している。
ロシアよりもはるかに厳格にインターネットを制限している中国やイランなどの政権は、自国のインターネットをより高い水準で左右できる中央集中型のインターネット管理の仕組みを使用している。そのためこうした国々は、グーグルの削除申請では上位に入らない。
中国の重要な検閲の仕組みは「グレート・ファイアウォール」と呼ばれることが多い。またイランや北朝鮮などでも、国を出入りするインターネットのトラフィックを全て集めるいわゆるインターネットのゲートウェイやチョークポイントが設けられ、制御が容易になっている。
つい先日も、チョークポイントを有していると考えられるイランのデータセンターが火事になり、広範囲でインターネットが停止した。またカンボジアとタイでは最近、こうした極めて厳しいインターネット制御を導入することが検討されている。