中国政府は、ビリオネアのジャック・マーが率いるアリババやポニー・マーのテンセントなどの巨大テックの市場への影響力を抑制することに依然として熱心だ。さらに、経済が減速し、消費者の節約志向が強まっていることが、政府の悩みの種となっている。
深圳に本拠を置く調査会社ブルーロータス・キャピタルのショーン・ヤンは、「まだマイナス面は残っており、様子見の段階だと考える」と述べている。
最も継続的なリスクにさらされているのはアリババだ。Aequitas ResearchのアナリストのMing Luによると、アリババ株は現在、2022年度3月期(同社の会計年度は4月~翌年3月)の予想PER(株価収益率)の15.9倍で取引されているが、これは2017年から現在までの平均の31.3倍を大幅に下回っているという。
同社は中国の巨大なEコマース市場で、依然として圧倒的な地位を占めていることから、著名投資家のチャーリー・マンガーは安値で買うチャンスだと述べているが、同社の最新の決算は警戒すべき十分な理由を示している。
アリババは、中国の小売支出の低迷と、バイトダンスなどのライバルとの競争の激化に悩まされている。また、昨年4月には過去最高額の28億ドル(約3200億円)の独占禁止法による罰金を科されており、他社のプラットフォームへのブランドの流出を阻止できなくなっている。
アリババの12月までの四半期の売上高の伸びは、前年同期比でわずか10%増の380億ドルで、2014年の上場以降で過去最低だった。
一方、香港市場に上場するテンセントもまた、問題を抱えている。規制当局は昨年7月以降、新たなゲームを承認しておらず、ゲームの承認を約10カ月間停止した2018年に続き、またもや長期間の凍結となっている。さらに、停止期間が今年末まで延長されるのではないかとの憶測も流れている。
フードデリバリー美団も株価急落
このように不透明な状況が続いているため、市場の動揺は増すばかりだ。先日は、匿名の投稿が新たな取り締まりの可能性を示唆したことを受けて、テンセントの広報責任者のZhang Junはこの噂を否定したが、同社の株価は5%以上急落した。同社の現在の予想PERは24倍で、5年間の平均の38.4倍から大きく低下している。
当局の取り締まりがいつまで続くかはまだ不明だ。先週は、中国当局がフードデリバリー企業に対し、レストランへの請求額を削減するよう求める新たなガイドラインを発表し、香港に上場する業界トップの美団(Meituan)の株価は15%下落し、260億ドルもの時価総額を失った。
香港に拠点を置くKaiyuan Capitalの最高投資責任者のブロック・シルバーズは、規制リスクを理由に、中国のハイテク株への配分を現在ゼロにしていると明かした。アンプル・ファイナンスのアレックス・ウォンも、ハイテク関連銘柄への投資を減らしたと述べている。
「以前は、中国のテック銘柄は私のポートフォリオの要だった。しかし、今は持ち分を減らしており、マクロ環境の変化を待った後に、大量に追加する予定だ」とウォンは語った。