中国の国家市場監督管理総局(SAMR)は4月26日、美団に対する調査を発表した。その翌日の香港市場で、美団の株価は6.3%もの上昇を見せた後、前日比2.6%高で取引を終えた。
当局によると、美団は取引先に対して同社の競合企業とは取引しないよう「二者択一」を求めており、これが独禁法に抵触している可能性があるという。美団の広報担当者は、「当局の調査に積極的に協力し、コンプライアンス管理を改善するための措置を講じる」と述べ、現時点で同社のオペレーションが通常通り行われていると話した。
投資家が楽観的なのは、美団に課される罰則がそれほど厳しくないとの期待があるためだと報じられている。シンガポールのDZTリサーチのKe Yanは、「美団は、規模が小さく歴史も浅いため、罰金の額がアリババに科された額を上回ることはないだろう」と述べている。
アリババは、加盟店に独占契約を強要するなどの独占的な行為を行ったとして、2019年の国内売上高の4%に相当する約28億ドル(約3046億円)の罰金を科されていた。
美団の昨年の売上高は約177億ドルで、アリババと同じ4%の基準が適用された場合、罰金の額は7億800万ドルに及ぶことになる。中国の独占禁止法では、罰金の額は最大で売上の10%とされている。
しかし、美団は売上の半分以上を叩き出すフードデリバリー市場において、今後も有利なポジションを維持し続ける見通しだ。同社の5億1100万人に及ぶ有料ユーザーらは、美団のアプリで食べ物を注文することに慣れており、「短期間でユーザー離れが起きることは想像しがたい」とKeは話す。
「投資家は、美団が当局の反トラスト調査の次の標的になると予想しているが、同社が加盟店や顧客を失う可能性は低いと考えている」とKeは述べた。
しかし、美団と同社の創業者でビリオネアのワン・シン(王興)にとって、今年が厳しい年であることは間違いない。美団の時価総額は、今年2月に株価がピークに達して以来、30%以上も縮小している。現地メディアによると同社は今年、少なくとも2件の独占や不正競争に絡む訴訟で、有罪判決を受けている。
一方で、昨年の中国の富豪ランキングで16位に入った美団の創業者である42歳のワンは、「拼好飯」と呼ばれる共同購入サービスなどの新サービス向けの投資を活発化させている。
美団は4月上旬、自動運転テクノロジーの導入や生鮮食品のデリバリーへの進出に向けての資金を確保するため、株式や転換社債を売却し、100億ドルを調達していた。