反コロナ規制デモに賛同の暗号通貨取引所「クラーケン」CEOの真意

ワクチン接種の義務化に対して抗議デモを行うトラック運転手ら(Kadri Mohamed/Anadolu Agency via Getty Images)


リスクを恐れず言うべきことを言う


パウエルは、規制当局を敵に回すつもりはなく、言いたいことを黙っていることの方が多いというが、必要に迫られれば躊躇なく自社のプラットフォームを利用する覚悟があるという。

「伝統的な金融システムはウェポナイズ(兵器化)されている。クラウドファンディング・プラットフォームは、テロリストの資金調達用プラットフォームかのごとく規制されている」と彼は言い、個人が自身の資金に自由にアクセスできなくなることは、言論の自由を失うことに等しいと指摘する。

パウエルによると、自由な国であるはずのカナダでこのような事態が生じていることが、状況をより厄介にしているという。

「カナダで起きていることは、西欧諸国がこのような状況に免疫がないことを示す良い例だ。人々は、政府が常に自分たちの利益を優先させるのか、正当な手続きを踏まずに銀行預金を没収するようなことをしないのか、よく考えてみるべきだ」と彼は述べている。

パウエルは、これまで一貫して暗号通貨の投資家に対し、積極的に取引をしないのであれば、自身で秘密鍵を管理できるウォレットに資産を移すよう促してきた。「他社の中には、プラットフォーム上の資産や預かり資産の額で業績を評価している場合がある。銀行は間違いなくそのような指標を採用している。しかし、ユーザーが積極的に取引をしたり、プラットフォーム上で消費しないのであれば、口座に眠っている負債に過ぎない。我々にとっても同じで、ハッキングされたり、何らかの形で失う可能性がある」と彼は話す。

クラーケンのような取引所は、高度に規制された金融セクターと、プライバシーと自由をDNAに織り込んだ業界とのボーダーライン上に位置している。パウエルは矛盾を認め、「今回のように、規制当局は私が個人としてツイートしたことについて質問をしてくる」と述べた。(クラーケンは、ニューヨーク州で事業を停止してから数年後、同州による情報開示請求に応ぜず、同州司法長官を、“別れた後も支配しようとしてくる元恋人”と呼んで話題となった)。

「私は、自身の信念に基づいてこの業界に参入したが、バランスを取るのが非常に困難だ。私は、業界にとって重要なことを発言したいと考えており、時にはリスクを冒してでも模範を示すために発言しなくてはならないことがある。そうすることで、他の人々が立ち上がり、行動を共にする機会を与えることができるのだ」とパウエルは語った。

編集=上田裕資

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