反コロナ規制デモに賛同の暗号通貨取引所「クラーケン」CEOの真意

ワクチン接種の義務化に対して抗議デモを行うトラック運転手ら(Kadri Mohamed/Anadolu Agency via Getty Images)

米国2位の暗号通貨取引所クラーケン(Kraken)のジェシー・パウエルCEOが、カナダの首都オタワで新型コロナウイルス規制に抗議デモを行うトラック運転手らを支援したことに対し、同国の政府は圧力をかけている。しかし、パウエルはこの状況が暗号通貨の本当の価値を示すための絶好の機会だと捉え、引き下がるつもりはないようだ。

パウエルは、カナダ政府がトラック運転手にワクチン接種を義務化したのは「行き過ぎ」だとして、2月6日に抗議行動に参加している運転手らにビットコインを寄付した。

「ワクチン接種の義務化はモラルに反し、個人的には反対だ。また、政府が虚偽の説明をしたり、情報を隠蔽していることを示唆する証拠が多く存在しており、効果は疑わしい」と彼は話す。パウエルは、トラック運転手は他人と接することが少なく、リスクが低いにも関わらず、政府に目を付けられていると感じている。

パウエルは、カナダ政府がトラック運転手への寄付を阻止するため、暗号通貨を押収する緊急措置を発動する可能性を示唆し、そうした事態を恐れる場合はクラーケンから資産を引き出すよう自身のフォロワーにツイッターでアドバイスした。

「今日は、カナダ人にとって悲しい日だ。本来、国家の緊急命令は、戦時下で国家の主権を守るために発せられるべきだが、強制的な医療処置に抗議する運転手たちにコーヒーを販売する人など、一般市民に向けて行使された。これにより、カナダ政府は、抗議行動への支援が疑われる人に対し、警告や正式な手続きをせずに金融口座にある資産を没収することができる」と彼は述べた。

コインベースのブライアン・アームストロングCEOも、「カナダのような自由経済の国においてこのような事態が生じることは心配だ。自身で管理できるセルフカストディ・ウォレット(自身で秘密鍵を管理するウォレット)は重要だ!」と述べている。

パウエルのツイートは、最近発動された非常事態宣言に基づき、政府による資産の差し押さえに応じる姿勢を示してはいるが、カナダ政府は彼やアームストロングの発言に不快感を表明した。

オンタリオ州証券委員会は、パウエルのツイートにフラグを付け、王立カナダ騎馬警察(RCMP)と共有した。「我々はこの情報を把握しており、RCMPや関連当局と共有した」と、証券委員会の広報担当であるKristen Roseは述べている。
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編集=上田裕資

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