経済・社会

2022.02.27 07:00

気候変動対策、ロシアへの懸念、フランスが原発新設を進める理由

フランスのベルヴィル原子力発電所(Photo by Mehmet Acar/Anadolu Agency/Getty Images)


ロシア・ファクター


フランスは1970年代、ほとんどの国々が躊躇するなかで、原発推進に舵を切った。フランス国民の大部分は、この政策を支持した。エネルギーを他国に依存する状態から脱却できると評価してのことだ。
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しかし、2011年に日本で起きた原発事故を受けて、フランスは自国の原発政策を批判的に見直し始めた。フランスの規制当局は、同国のすべての原発は審査をクリアしており、廃炉が必要なものはないが、現在の安全運用技術を引き続き強化していくべきだとしている。

世界における原子力セクターの成長をけん引するのは中国だ。中国は、2050年までに150基の新設を計画しており、総工費は4400億ドルにのぼる。現在は、40基以上の原発を建設中だ。中国は、世界のどの国よりも急速に工業化を進めている。原発がもたらす排出削減と生活の質の向上は、新たな投資の求心力となることが期待され、すでにサムスン、シーメンス、フィリップスなどが関心を示している。

第3世代および第3+世代原子炉の建設は、おもに中国とインドで進められている。第4世代原子炉は、研究開発の段階だ。
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原発新設における最大の障害は、高い建設コストにある。米国の公益企業サザン・カンパニーは、ジョージア州にあるヴォーグル原発に2基の第3世代原子炉(ウェスティングハウス社のAP-1000)を建設中だが、予算を大幅に超過している。一方、中国ではこうしたリスクを、政府がほぼすべての資金を保証することによって相殺している。

自由市場経済におけるエネルギー技術には自立性が求められる。また、環境保護団体は原発に関して、高い建設コストに加えて、核廃棄物長期管理施設の候補地選定が困難であることを批判し、再生可能エネルギーの発展に公的リソースを投入するほうが賢明だと主張している。

だが、フランスが再び原発推進の道を選ぶことで、他の先進国も同じ結論に至るかもしれない。カーボンフリーエネルギーをつくりだし、ロシアの覇権を逃れることは、喫緊の課題なのだ。

翻訳=的場知之/ガリレオ

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