『Unlearn(アンラーン)人生100年時代の新しい「学び」』 は、現代日本には「アンラーン=過去の学びから、クセやパターン、思い込みをなくすことで、新たに成長し続けられる状態に自分を整える技術」が必要だというお二人による、新しい学びのススメだ。
誰もが「思考のクセ」を持っている
「無くて七癖」ということわざがあるように、誰もがクセからは逃れられない。しかも、往々にしてそのことに自分では気づかない。この場合のクセは、口ぐせや身体の動きのクセのことを指しているが、「思考にもクセがある」ことが本書では繰り返し指摘されている。そして、思考のクセは時に成長を妨げるもので、「アンラーン」の対象であるらしい。
思考のクセとは何か? ──ここでは「環境に適応してパターン化した意思決定プロセス」だと定義される。その例として添えられたイラストが、とても楽しい。「目玉焼きといえば……」「醤油、とごく自然に思ってしまう思考の習慣」が思考のクセであるというのは、とてもわかりやすく、思わず「なるほど!」と声が出た。これはもちろん、ちょっとしたユーモアであるが、「ああ、こういうクセは、確かにたくさんありそうだな」と素直に思わせられた。
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もちろんビジネスシーンでの例も紹介されている。そのひとつが、プレゼン方法のパターン化だ。「前回うまくいったプレゼン」を、次回以降も踏襲していくというのは多くの人がやっていることだろう。「成功パターンを見つけた!」くらいに自信を持って、自分の中でノウハウ化しようとさえするのではないだろうか。まさか、それが成長の妨げになっているとは思いもしなかった。
せっかくの成功体験を手放すのには勇気がいる。経験や積み重ねの価値も大事にしたい。そういう気持ちとアンラーンは対立しないのだろうか。