同社のめざましいEコマースでの成長を支え続けているのは、儲けの大きいアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)部門だ、と考えられているようだ。
長年のあいだ、それは事実だった。しかし、もはやそうとは言えないことは間違いない。とはいえその説は、「従来の小売業者の指標に照らしてアマゾンの小売事業を評価する」という、より広範な問題を示すものでもある。アマゾンについては、そろそろ根本的に考えを改めるべき時なのだ。
残念ながら、アマゾンが採用している決算報告方法のせいで、それぞれの事業分野の相対的な利益貢献度を探り出すのは難しい。だが、AWSが巨大で上り調子な稼ぎ頭であるのは確かだが、比較的単純なセグメント分析に基づいてみても、北米小売部門が相当な稼ぎを出している可能性はきわめて高い。
アナリストのベネディクト・エバンス(Benedict Evans)やジェイソン・ゴールドバーグ(Jason Goldberg)などが指摘してきたように、アマゾンの小売事業のなかでも最大の規模を誇り、最も急速に成長し、最も収益性が高いのがマーケットプレイスだ。
この事業では、アマゾンは在庫を持たず、同社が販売を手助けした4000億ドル近い流通取引総額(GMV)について、膨大な額の手数料を受けとっている。
マーケットプレイスにおけるサードパーティの販売は主に、ファーストパーティの販売(つまり、アマゾンが、従来の小売事業者に近いかたちで展開している販売)と同じフルフィルメント・ネットワークを利用している。従って、それぞれの利益率がどうなのかを、外部の者が正確に特定するすべはない。だが、販売手数料は急速に増加している。
そして、利益にならないとしたら、アマゾンがこの事業分野を放置するとは考えにくい。在庫に投資する必要がないことも、投資収益率に大きな好影響を与えている。