ビジネス

2022.02.19

アマゾンの収益構造をめぐる大きな誤解

Getty Images


だが、2月3日の決算発表では、重要なことが明らかになった。アマゾンが広告事業の規模を公表したのだ。広告事業の売り上げは年間310億ドルに上り、この部門がアマゾンで最も儲けの大きい事業分野である可能性が高くなった。

そして、この点が重要なのだが、広告事業は小売事業がなければ存在し得ない。小売事業の規模と成長が、広告事業の莫大な利益を実現しているのだ。

典型的な小売事業の分析はきわめて単純だが、アマゾンの場合、そうはいかない。ただし、ある製品ラインを利用して別の製品の販売を促進するという考え方は、新しいわけではない。ポラロイドは、カメラを売って、フィルムで稼いでいた。ジレットは、カミソリを売って、その刃で稼いでいる。コストコはいまでも、製品の販売ではなく、会費から利益の大部分を得ている。

アマゾンは、ファーストパーティ販売で利益を得ているのだろうか? おそらく、得てはいないだろう。アマゾン・プライムを、単独の損益計算書を持つアマゾンの自社製品ラインと考えて、2月3日に発表された会費値上げから生じうる利益への影響の計算にふけるべきだろうか? 断じてノーだ。

アマゾンは、平均を下回る利益率を受け入れつつ、Eコマースと実店舗小売りの両方に、積極的な投資を続けることができるのだろうか? もちろんできる。そして、可能なだけでなく、きっとそうするだろう。

アマゾンを従来型の小売事業者と比較しようとすると、決まって全体像を著しく見失ってしまうのだ。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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