ビジネス

2022.02.22 08:30

率直で透明な企業文化を生み出す、シンプルで巧みな方法

1990

成功例2件と失敗例2件を話し合うアプローチは、シンプルだが、必ずしも簡単とは限らない。例えば、リーダーシップIQが実施した調査「The State Of Leadership Development(リーダーシップ育成の現状)」では、「自分が働く企業のリーダーに仕事の問題を相談すると、常に建設的な答えが返ってくる」と回答した従業員はわずか26%だった。

人は、自分の中に矛盾する考えが生じると、精神が緊張して不快感を覚える。これは認知的不協和と呼ばれるもので、自分がミスを犯したときに起こることが多い。例えば、優れた実績を誇る才能あふれるプロだと自負する人が、自分も大きなミスを犯すという現実を突きつけられると、その相対する考えによって、精神的な緊張が生じる。その結果、ミスを否定したり、他人を非難したり、言い訳をしたりするようになってしまうのだ。

クラウド・フォー・グッドでは、こうした認知的不協和を明確に減らすため、難しい問題について話し合うときは、「確かにその通りだ。それでは……(Yes, and…)」というアプローチを取っている。フランクファートによれば、こうしたアプローチには、「あなたの意見には同意できない」という姿勢ではなく、「あなたの話は理解できた。では、この問題に対する他の対処法はあるだろうか」という姿勢があるという。

「成功例2件と失敗例2件を取り上げる私たちのアプローチの根底には、物事を個人の問題に帰着させたくないという思いがある。それよりも、そこから何か学べることはないか、常に探求したいのだ」

こうしたアプローチを始めるときには、ベテランの経営幹部たちですら、少し尻込みするかもしれない。しかし、こういう方向に行かなかった場合の結果は、ずっとひどいものになる。リーダーシップIQの調査「Why CEOs Get Fired(CEOがクビになる理由)」では、「現実を否定する態度(悪い知らせを否定・無視・否認するなど)」が、CEOが失職する理由の上位に入っていた。

恐れは感じるかもしれないが、次の重要な経営会議で、成功例2件と失敗例2件を話し合うこのアプローチを試してみれば、賢明な動きとなるかもしれない。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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