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2022.02.07

同業4社が市と提携。東大和で進む「ボトルリサイクル」の実証実験とは

東京都の多摩地域に位置する人口約8万5000人のまち東大和市。いまここに大手消費財メーカー4社がそろい、ボトルリサイクルの実証実験が行われている。

その名も「みんなでボトルリサイクルプロジェクト」。シャンプーや洗剤などの使用済み容器を回収し、新たなボトル容器に生まれ変わらせる“水平リサイクル”を目指す施策だ。

2021年6月にユニリーバ・ジャパンと花王の協業でスタートし、12月には東京都の「令和3年度 革新的技術・ビジネスモデル推進プロジェクト」に選定された。そのタイミングでP&Gとライオンも参画し、規模を拡大している。

ペットボトルよりもハードルが高い「ボトルリサイクル」


「近年、脱プラ意識の高まりからペットボトルのリサイクルは進んでいるものの、消費財のボトルリサイクルにはまだまだ課題があります」

リサイクラーとしてプロジェクトを技術面でサポートをしているヴェオリア・ジャパンの宮川英樹(サーキュラーエコノミー事業開発本部 マネージャー)はこう語る。主な課題は、「分別・回収・リサイクル」の仕組みがなかったこと。そして、消費財のボトルは、ペットボトルのように統一の規格がなく、素材や設計デザインも様々であるためマテリアルリサイクルとして技術的なハードルがあることだ。

東大和市での実証実験では、これらの課題をどの程度解消できるかを検証している。

回収対象は、シャンプー・ボディーソープ・消毒液・台所用洗剤・洗濯洗剤・柔軟剤などの使用済みボトルや、詰め替えパウチ。市役所や公民館など計10カ所に回収ボックスを設置したところ、昨年6月からの半年間で165キロ分が集まった。内訳は、ボトルが2374個、パウチが3193個。



ユニリーバや花王ではこれまでにも独自に容器の回収・リサイクルを進めてきたが、その実績と比べても、想定以上に安定的な回収ができているという。ユニリーバの増田有紀(アシスタントプロキュアメントマネジャー)は、「ご家庭できれいに洗浄して乾かしたボトルを持ってきていただくので、少し手間がかかるのですが、多くの方にご協力いただけて大変ありがたい」と話す。

実際、回収ボックスの中に異物が入っていることはほとんどなく、容器もきちんと洗われた状態のものばかりだった。「当社の他のプロジェクトと比較しても、回収率・質ともに圧倒的に高いです」と増田。
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文=堤美佳子 取材・編集=田中友梨

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