いかに「きれいな状態」で回収できるか
その背景には、兼ねてからの市民の環境意識の高さがある。東大和市は2019年6月にはセブン-イレブン・ジャパン、同年10月からはコカ・コーラ ボトラーズジャパンなどと連携し、ペットボトルの回収・再生事業に取り組んできた。そのため、同市環境部ごみ対策課長の中山仁は、その結果「リサイクルへのハードルが低くなってきているのでは」と分析する。
回収した容器はヴェオリアの工場へ運び、分別・洗浄・処理した後、ペレットへと加工する。トレーサビリティシステムを活用し質の高い回収ができているため、スムーズな仕分け作業ができており、想定よりも品質のよい再生ペレットが製作できているという。
回収したボトルを破砕、洗浄、溶融し、加工しやすいように3~5mm程度の粒状に成型したペレット
同社の宮川によると、回収した容器がきれいな状態であれば、洗浄コストや洗浄後の水の排出コストも少なくなり、リサイクルコストの低減につながる。
そのため、市でも市報やホームページ、SNSを活用して廃棄物の回収についての情報発信をする広報誌(年2回制作)などで、行動変容をうながすために周知を行っている。
「実際に私もやっているのですが、お風呂に入ったときに、ついでに空き容器も洗ってしまうと楽なんです。市民の皆さんにも、『温かいお風呂の残り湯を使うと、きれいに洗えるんですよ』と呼びかけています」(中山)
ボトルデザインの「統一」は難しい?
みんなでボトルリサイクルプロジェクトでは、回収したボトルからできたペレットを、再びボトル容器に成型するための実験も行っている。
消費財のボトルは、着色されていたりボトルに直接印刷されていたりと、デザイン性が高いパッケージが多い。そうした容器は再生プラスチックに変換する過程で、くすんだ色のペレットになってしまうのだという。
では、ルールや規格を定めればいいかといえば、それほど簡単ではない。「消費財のパッケージで様々な色や形、ラベルが採用されているのは、販促面だけでなく、使い勝手の良さや、他の薬剤との混同を防ぎ“安全性”を担保するためという理由もある」と、花王包装技術研究所 リサイクルシステムプロジェクトリーダー 辻誠は説明する。