この記事は、1月17日から21日にわたってWEFがオンライン形式で開催した「ダボス・アジェンダ」の一部です。
・「大退職時代」を迎えた今、仕事を辞める人は記録的な数に上っています。
・こうした傾向と並行して、新しいスキルを身につけようと、学び直しを選択する人も増えています。
・企業の人事戦略は、「継続学習」という新しいマインドセットを組み込むことが必要です。
新型コロナウイルスの感染拡大により世界経済が麻痺した時、単調な仕事を辞め、志を新たにした人々は数百万にも上りました。現在、仕事を辞めることを検討している人は、全体の40%~75%に上ると報告されています。
こうした動きは人材危機につながり、これは「大退職時代」なのか、あるいは「大改造時代」なのか、という議論を引き起こしています。どちらの分析も示唆に富むものですが、私たちが見ているのは、まったく別の物です。今、世界は「大いなる学び直し革命」の転換点にいるのです。
人々は学びを欲している
離職者の数は大きく報道されますが、学び直しを選択する人の数が取り上げられることは滅多にありません。実際には、人気の大規模公開オンライン講座(MOOC)の受講者数は、急増しています。同様にCourseraの受講者数も、2020年3月中旬から4月中旬の間に、160万人から1030万人に増え、前年度比(2019年の同時期)で640%も跳ね上がりました。Udemyでは、2020年2月から3月にかけて、登録者数が400%以上増加しています。
年福利が20%のeラーニング市場は、2027年には1兆ドル規模に達すると言われており、中でも特に需要が高いのは、データサイエンス、AI(人工知能)、機械学習などのコースです。これらの分野で、優秀な人材の確保に頭を悩ませている企業にとっては、明るいニュースと言えるでしょう。
こうした社会人の学び直しに対する意欲に関して、最近行われた他の調査でも興味深い結果が出ています。ギャラップ社とアマゾンの調査によると、米国の労働者の48%が技能訓練の機会さえあれば転職したいと考えており、65%が転職先の候補を評価する際、スキルアップの機会があるかどうかが非常に重要だと答えています。
メットライフ生命の調査では、さらに興味深い結果が出ています。パンデミックの際に退職した女性の3人に2人(63%)が復職したいと答え、10人のうち8人がSTEM(科学、技術、工学、数学)の分野でのキャリアを考えていることがわかりました。
アルビン・トフラー氏の「21世紀の非識字者とは、読み書きができない人のことではない。学んだことを忘れて、新しく学び直すことができない人のことだ」という予言の通り、私たちは識字(リテラシー)能力の再定義を目撃しているのです。