なぜならば、給与所得者の場合「教育訓練給付制度」の他に、「所得税の特定支出控除」と「翌年の住民税控除」が関係してくるため、全体のキャッシュアウトで考える必要があるからだ。
主な3つの制度と控除。対象となるのは?
※以下は分かりやすいよう、一般的な控除である社会保険料と基礎控除を加味した、ざっくりの計算となっている。特に【2】【3】については、家族構成や加入している保険等によって結果が異なってくるため、詳細は税理士に相談されたい。
【1】専門実践教育訓練給付(ハローワークで申請)
MBAや法科大学院などの専門職大学院は厚生労働省によって指定講座とされた場合「専門実践教育訓練給付」の対象となり、費用の50%(年間上限は40万円)が給付される。
これは、雇用保険に加入していること、講座が給付対象であることを条件にハローワーク経由で支給される。仮に学費が年間150万円の場合、上限の年40万円が給付される。支給時期は半年毎、4月入学であれば、最初の支給は10月以降となる。
また、修了後は、教育訓練経費の20%に相当する額を追加支給される。ただし、支給総額の上限が決まっており、訓練期間が3年の場合は168万円、2年の場合は112万円、1年の場合は56万円となっている。
教育訓練給付を受けるには、受講する講座が対象になっていることや、(できるだけ)履修開始前にハローワークでご自身が対象である認定を受けておく必要がある。必要書類含め注意が必要だ。
【2】所得税の特定支出控除(確定申告が必要)
給与所得者の場合、確定申告により(ここからいきなりややこしいのだが)「給与所得控除額×1/2を超える分」を「特定支出控除」として、申告することができる。
例えば、年収600万円で、一般的な控除である社会保険料と基礎控除を加味し、学費が年間150万円の人の場合で考えてみよう。
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年収600万円の場合、給与所得控除額×1/2は、計算式収入金額×20%+44万円×1/2により、82万円となる。
学費の150万円のうち82万円を超えた分は68万円。そこからさらに【1】で給付を受けた40万円を引いた28万円に、所得税率10%をかけた2万8千円が確定申告により還付されることになる。
還付のタイミングは、確定申告のはじまる翌年2月以降となる。
【3】翌年の住民税控除(確定申告により自動計算)
前出の【2】の特定支出控除の確定申告により、住民税の計算も変わってくる。
住民税の計算は若干複雑だが、だいたい10%として、28万円の10%、2万8千円が、翌年の6月から翌々年の5月まで分割されて住民税から軽減される。