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2022.02.06

最高を超える山田錦プロジェクト 「Dassai Beyond the Beyond」とは?

写真:旭酒造より

和食が世界無形文化遺産に登録されて、世界中から熱い注目を浴びている日本酒。なかでも通の間で人気が高いのが、純米大吟醸酒「獺祭」だ。その酒蔵である旭酒造は、2019年から原料米「山田錦」のコンテストを開催している。

その名も「最高を超える山田錦プロジェクト」は、コンテストへの挑戦をとおして全国の山田錦農家が様々な試行錯誤を行うことで、日本の農業が活気付くことを狙ってのものだ。

グランプリ米には、60俵3000万円という市場価格の約25倍の賞金が贈呈される。3回目を迎えた「最高を超える山田錦プロジェクト2021」は、全国11以上の県から50件以上の旭酒造と契約している個人・企業からのエントリーがあった。

この記事では、1月に開催された「最高を超える山田錦プロジェクト2021」の発表会と、第1回の優勝米を使った「Dassai Beyond the Beyond」の特別試飲会をリポートする。


「最高を超える山田錦」とは


今年のコンテストでは、「20%以下まで精米する超高精米を使用して造られる獺祭の酒造りに適しているか」という点が大きな選考基準となった。つまり、「超高精米という、従来の日本酒を超えた品質を造る際に、必要な要素に耐えうるもの」であること。具体的には、酒造りの要となる山田錦の中央にある白い部分=心白が小さく中央に位置している米であるか、という要素が重視された。

栄えあるグランプリに輝いたのは、岡山県の高田農産。準グランプリは、兵庫県の菅野泰彰に授与された。


最高を超える山田錦プロジェクト2019でグランプリを取った米を使った、「Dassai Beyond the Beyond」

最高額84万円の日本酒テイスティング


今年の結果と同時に注目を集めたのが、「最高を超える山田錦プロジェクト2019」でグランプリを獲得した米から造られたエクスクルーシブな大吟醸酒「Dassai Beyond the Beyond」の試飲会だ。

「Dassai Beyond the Beyond」とは、栃木県大田原市で農業を営む坂内義信の米を使い、旭酒造の精鋭3人があらゆる技術と情熱を注いで造った23本限定のプラチナボトルだ。2020年のサザビーズオークションで、最高額1本84万円で落札されたことでも話題を集めた。

試飲会には、日本の食を担う、以下7人のソムリエが参加。数多くの酒と料理に精通するトップ集団からは、称賛とリスペクトの声が会場内にもたらされた。

・一般社団法人日本ソムリエ協会副会長&「レストラン ローブ」 石田 博
・同常務理事&「ホテルニューオータニ」料飲部レストラン課長兼エグゼクティブシェフソムリエ 谷 宣英
・同常務理事&「コンラッド東京」エグゼクティブソムリエ 森 覚
・同理事&「マンダリンオリエンタル東京」シェフソムリエ 野坂 昭彦
・同理事&「THE THOUSAND KYOTO」シェフソムリエ 岩田 渉
・同理事&「ロオジエ」ソムリエ 井黒 卓
・「コンラッド東京」ソムリエ 森本 美雪 



日本酒の良さについて、森は「食事と合わせた際の凡用性の高さ」と言う。「米、造り、温度、グラスといった変化の多さが特徴で、どんなお料理にも合わせて楽しむ事が出来る」とコメント。一皿毎にお酒を変えるペアリングスタイルのワインに対し、1本でコースの前菜からデザートまで通す楽しみ方の幅の広さを評価した。

原材米の「山田錦」については「米の個性が酒に表われている。生産者のパッションや酒蔵の想いが感じられる」と評価する岩田に対し、「山田錦は、ブドウでいうところのNoble(高貴品種)」と、米由来の味わいについても高いコメントを残した。

今回のソムリエ達に共通していたのは、「繊細かつ壮大。非常に長い余韻の残る至高の1本」という、最高を超えた「山田錦」から珠玉の日本酒として造られた「獺祭」に相応しい感想であった。
次ページ > ソムリエ界を牽引するトップ達のコメントの一部を紹介

文=中村麻美

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