ここで、ソムリエ界を牽引するトップ達のコメントの一部を紹介。
「流れるような滑らかなテクスチャー。口の中で、豊潤な果実とスパイスのフレーバーが広がり、緻密な酸とアルコールとのバランスが絶妙。余韻がエキゾチックに広がり、妖艶で創大な味わいが長く残るので、スケールの大きさを感じた」とは、森のコメント。
井黒は、「豊かで厚みのあるボディと抜群のプロポーション。まろやかでしなやかなテクスチャー。緻密な酸味の後に広がる柔らかい甘味旨味苦味を伴ったフィニッシュに移行して、メリハリが抜群。そして、とてつもなく長い余韻が印象的」と評価。
日本酒といえば和食に合わせるのが一般的という概念だが、「王道フレンチにも合う。特にキャビアを使用したお料理。クリーミーなキャビアと『Beyond the Beyond』が持つまろやかな味わいとマッチする。また、キャビアの塩味と山田錦の独特な甘苦みが、お互いを支え合うのを想像出来る」と、料理とのマリアージュも提案した。
一方、「こんなにも『山田錦』の甘味旨味が感じられたのは衝撃だった」と語ったのは、森本。「余韻が長く残り、日本らしく奥ゆかしい。こんなにも滋味深さを感じる日本酒は、これまで体験した事がなかった」と絶賛。合わせる料理は、「伊勢海老の黄味酒盗焼き、穴子のテリーヌ、鰆の幽庵焼き、リード・ヴォーとオマール海老のソテー、バニラとオレンジのムース」と、具体的なメニューが次々とインスピレーションされた。
「最高を超える山田錦プロジェクト」とは、旭酒造が2019年から全国の「山田錦」農家に、今までの「山田錦」を超えるものに挑戦し、活気をもたらす目的でスタートされたコンテスト。グランプリ米には、60俵3000万円という市場価格の約25倍の賞金が贈呈される。
3回目を迎えた今回は、全国11以上の県から50件以上の旭酒造と契約している個人・企業からのエントリーがあった。今回の大きな選考基準は、「20%以下まで精米する超高精米を使用した『獺祭』の酒造りに適した米であるか」という点。
つまり、「超高精米という、従来の日本酒を超えた品質を作る際に、必要な要素に耐えうるもの」。具体的には、酒造りの要となる「山田錦」の中央にある白い部分=心白が小さく中央に位置している米であるか、という要素。そして、そんな難易度の高いテーマに対して、これまでにない熾烈な審査を極めた事でも、常に挑戦し続ける「獺祭」への限界を超えたアプローチとなった。
和食の浸透と共に、世界的に注目を集める日本酒のトップメーカーを走る旭酒造。純米大吟醸酒「獺祭」へのあくなき情熱が、ワインがライバルという日本酒業界の挑戦として、これからも続く。