スウェーデン・ルンド大学の研究チームは、ズームで人々が自分の権力や地位を示す方法について調べた。影響の大きな国際政治の舞台に焦点を当て、史上初のオンライン開催となった2020年3月の20カ国・地域(G20)首脳会議で各国が公開した50枚以上の写真を分析。各国首脳がオンライン会議の場にどう反応したかや、周囲の環境を使いどうやって自分のステータスを示したかを調べた。
ステータスの顕示
研究チームは写真から、国際政治の舞台での成功に欠かせないと考えられる信用性や信頼性、継続性などを示すものを探した。こうした要素は、会場や背景、画面に映る人や物といった舞台演出に、さまざまな形で現れる。
例えば、各国が使用した背景はそれぞれ非常に異なっていた。全員が少なくとも1枚の旗を飾っていたものの、国内総生産(GDP)が低い国は高い国と比べてより多くの旗を飾る傾向があった。インドは背景に10枚の旗を使用。これに対し、従来の首脳会談では、1カ国につき許される旗が1枚だけだった。
写真に写った面々にも大きな違いがあった。首脳が一人で写っていた国があったのに対し、周囲に側近が勢ぞろいしている国もあった。自国の権力の構図を示すように出席者が選ばれたことが明らかな国もあり、例えば米国ではトランプ大統領が軍の統合参謀本部議長と財務長官に囲まれていた。
適切な背景
各国は、どのような背景を使うかにも気を配っていた。ごくありふれた会議室を使った国もあったが、北京の人民大会堂から参加した中国の習国家主席のように象徴的な意味のある場所を選んだ人もいた。マクロン仏大統領は、華麗な装飾が施されたエリゼ宮の一室で会議に参加した。いずれも、自国の富と名声を象徴することを確実に意図したものだ。同様に、トランプ大統領は米国の軍事力を象徴するホワイトハウスの危機管理室から会議に参加した。