リーダーにこそ必要な「学びほぐし」
Getty Images
リーダーシップと学びほぐしについての記事で、ローリー・ベネットはこう書いている。「自分が常識だと思っていることを学びほぐすように言われたら、誰だって心穏やかではいられない。嘘だと思うなら、ダーウィンやマーティン・ルーサー・キング・ジュニア、中東和平プロセスや#MeToo運動に関わった人々、あなたのまわりにいるXジェンダー(ノンバイナリー)の友人に訊いてみるといい」
自分は誰より物を知っている、絶対的な「真実」や現実を正しく理解していると思い込んでいる人は要注意だ。傲慢なリーダーはもはや時代遅れと言っていい。
リーダーが自分は絶対に正しいという態度を崩さないと、周囲から柔軟性に欠けると見なされ、本人に自覚があろうとなかろうと、それ以上の議論や対話はできなくなってしまう。それどころか、部下は自信満々な上司の言うことに(たとえ本音は反対でも)賛成しなければならない、あるいは何も意見を言ってはならないと感じるだろう。上司に無条件で追従する共犯者となり、大きな問題に気づいていながら見て見ぬふりをすることにもなりかねない。
傲慢なリーダーの危険性
経営コンサルタントのパトリック・レンシオーニは、「CEO(最高経営責任者)でいることの難しさ」という記事の中で、リーダーが陥りがちな「自分の弱点を認めない」傾向について触れ、CEOを失敗に導く五大要因のひとつだとしている。
「“何があっても涼しい顔でいろ”という古い格言は、役者や営業担当者には適切かもしれないが、リーダーにとっては問題だ」とレンシオーニは述べている。「傲慢な姿勢でいるかぎり、部下との信頼関係は築けない」
リーダーが自分の間違いを認めなければ、従業員もそうした姿勢を反映し、結果として「表面的な虚しい対話を延々と続けることになり、本音のやりとりは一切なくなる」とレンシオーニは言う。
成功したリーダーは、年功を重ねるほどに自分の「知見」が増したと考え、自信を深めることによって、自分の考えと根本的に異なる思考や手法、アイデアには耳を貸さなくなってしまうのだ。
オープンマインドなリーダーになるために
そんな独りよがりなリーダーになってはいけない。では、どうすればいいだろう? 以下に「学び」と「学びほぐし」を続けていくための方法を三つ紹介する。
1. 常に学びを続け、決して「これでもう十分学んだ」とは考えない
そのためには、「何が(を)~」「どうすれば~」などで始まる自由回答式の質問をするのが効果的だ。
2. 「今ここ」に集中し、雑念を取り払う
どうやって? 学習日誌をつけよう。あなたの思考や信念に挑む出来事や人との会話などを書きとめ、そこから何を学んで何を学びほぐせばいいか、じっくり考えよう。
3. 思考や手法の多様性を受け入れる
異なる視点から物事を見て理解を深めるようにしよう。SNSで新たに知った人をフォローしたり、いろいろなチャンネルのニュースを見たりして、常に偏見のないオープンな心を保とう。
「心はパラシュートのようなものだ。開いているときに最もよく機能する」という言葉を思い出してほしい。あなたも心を開いて新しい物事を受け入れるために、自分が常識だと思っていたことを学びほぐす必要があるかもしれない。