同リポートは、ソーシャルコマース経由の売上高が、2021年の4920億ドルから、2025年までに1兆2000億ドルに急増すると予測。この大きな変化が、大企業から小規模事業者へのパワーシフトをもたらすと指摘している。ただしその一方で、これまで以上にショッピングが手軽にできるようになれば、消費者が抱え込む負債が増える可能性もある。
規模の大小を問わず、小売業界全体に及ぶ「ソーシャル革命」の波
このリポートは、ソーシャルコマースによって生まれる変化に関して、このように述べている。「ソーシャルコマースによって、売り買いの行為が完全に日常生活のなかに織り込まれ、真の意味でのコミュニティやつながりの感覚が生まれることで、従来のEコマースとは根本的に異なる体験が提供される」
こうした「相互につながり合う感覚」により、特に小規模な独立系の事業者にとっては状況を一変させるチャンスが到来する。新たな顧客や市場と結びつきやすくなるためだ。
消費者側から見ると、ソーシャルコマースには、種類を問わずあらゆる小売業者とつながることができるメリットがある。自宅や職場、あるいは移動中の電車の中などで、手持ちのデバイスを通じて、小規模な独立系の事業者を発見できるのだ。
しかし、裏を返せばこれは、「ショッピング」という行為が日常生活と一体化するということでもある。消費者はもはや、「ショッピングに出かけよう」として外出の計画を立てたり、小売業者のウェブサイトを訪問するためにネットに接続しようと考えたりする必要すらなくなる。
ソーシャルメディアへの投稿が、人々の購買行動に影響を及ぼすことを示唆する証拠は、数多くあがっている。ポイント(Point)の依頼を受け、市場調査会社のワンポールが米国人2000人を対象に先ごろ実施した調査でも、「ソーシャルメディアは、支出に対して非常に大きな影響力を持っており、特にTikTokとインスタグラムが好まれる傾向がある」という結果が出ている。
この調査は、「インフルエンサーの投稿が、ソーシャルメディア経由での商品購入を後押ししたと答える者が59%に達した」「ソーシャルメディア経由の購入は、店舗での購入と比べて、衝動買いが多くなるとの声が上がった」と指摘している。その一方で、あまり触れられることがない、この「革命」がもたらす影の部分にもスポットライトを当てている。それは、消費者が抱える債務の問題だ。