「気軽に買い物できる」ことの弊害への配慮も必要に
「気軽に買い物ができる」というソーシャルメディア・プラットフォーム経由のショッピングの特徴は、小売業界にとっては非常に大きなメリットだが、注意すべき点もある。前述したポイントによる調査では、「ソーシャルメディアに煽られて、回答者が予算オーバーや、意図していた以上の出費、さらには借金をしている実態」が判明している。さらに、「回答者の45%が、ソーシャルメディアで見た商品を購入するために借金をした経験がある」という驚くべき事実も判明した。
また、アクセンチュアの調査はこう指摘している。「ソーシャルメディア経由であれば、規模の大小を問わずあらゆるブランドが商品を販売できる。また、個人が自身を『ブランド化』したり、独自のブランドを新たに作り出したりして、市場に直接リーチすることも可能になった」
小規模事業者のなかには、大手企業と比較して、よりサステナブルかつ倫理的で、意識の高い選択肢と見られているところも多い。独立系の事業者が、顧客に対して裏表なく、責任ある態度を保つことができれば、ソーシャルコマースが主流となった世界で勝者になる可能性がある。
アクセンチュアはソーシャルコマースに関して、「小規模の事業者や起業家にとっては、これまで手が届かなかった潜在的な巨大市場にリーチできることにつながり、大きな福音となる」と、その意義を強調している。
事業者が今後、ソーシャルコマースの販売計画で「人」を中心に据えるよう心がけ、こうしたプラットフォームにおいて顧客の要望やニーズに応えるよう努力するなら、ショッピングは、売り手側と買い手側の両方の要求を満たし、喜びをもたらす体験となるだろう。