また、音楽制作ソフトなどを提供するドイツの「ネイティブ・インストゥルメンツ」は、ハードウェアに紐づいたライセンスの譲渡(移行)を、無料かつ簡単に行えるサービスを提供している。
これは顧客がハードウェアを売却譲渡する(手放す)際に、製品のライセンス移行を行うと、ハードウェアの新しい持ち主がソフトウェアをダウンロードできるという仕組みだ。
これによって使わなくなったコントローラーを有効活用でき、サステナビリティーの面でも評価に値する。また不要なコントローラーを下取りに出し、新しい製品を再び同社から購入するといった購買行動も生まれることだろう。
このように、倫理的なマーケティングは、競争の激しいレッドオーシャンを競争相手の少ないブルーオーシャンに変える可能性を秘めているのだ。
このような倫理的なマーケティングに取り組むうえで不可欠なのが、確固とした企業理念だ。
そのうえで、企業には社員の行動規範を厳格に定めることも求められる。社員が業務遂行時に指針となるものだ。これは、社員が判断に迷ったとき、誰もが同じように倫理的な振る舞いができるよう明確に定める必要がある。
倫理的なマーケティングに取り組めていない場合、その責任は個人ではなく企業にある。倫理的な振る舞いの仕組み化、そして浸透のための取り組み、その双方を押さえておくことは、現代における企業の責務ともいえよう。