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2022.01.08

米国で「宗教系アプリ」の調達額が上昇中、2021年は200億円

Getty Images

米国では新型コロナウイルスのパンデミックで教会の閉鎖が相次いだことで、キリスト教などの宗教系のアプリの資金調達額が増えている。

PitchBookのデータによると、宗教系アプリのベンチャーキャピタルからの資金調達額は、2016年には610万ドルだったが、2020年には4850万ドル、2021年には1億7530万ドル(約200億円)に増加した。

祈りの習慣を身につけ、聖書に親しむことを目的としたカトリック教徒向けのアプリの「Hallow」は昨年、5000万ドルを調達した。このアプリにはイエスの生涯を描いたテレビドラマシリーズ「TheChosen」で知られる俳優のジョナサン・ルーミーや、ユーチューブで48万人の登録者を持つRobert Barron司教などのコンテンツが収録されている。

また、別のクリスチャン向けのアプリの「Glorify」は、2021年のシリーズAで4000万ドルの資金を、ソフトバンクのラテン・アメリカ・ファンドや歌手のマイケル・ブーブレなどの投資家から調達していた。

しかし、明確な宗教系のアプリの調達額は、2020年12月に評価額20億ドルで7500万ドルを調達した「Calm」などの大手のマインドフルネスのアプリの調達額には及んでいないとテッククランチは報じている。

昨年1月に発表されたピュー研究所の調査によると、米国では過去10年間で信仰心が高い人々の割合が減少した一方で、28%の米国人がパンデミックによって信仰心が強まったと答えていた。しかし、教会への出席率は50%も低下しており、キリスト教の各宗派のリーダーたちは、恒久的なオンラインサービスによる「ハイブリッドな未来」を模索しているとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は報じている。

ワシントンの聖母マリア大聖堂の院長のウォルター・ロッシは、Wallowのようなアプリはサブスクリプションで運営するのではなく、寄付を募るべきだとWSJの取材に述べていた。

WSJは、多くのキリスト教アプリで日曜日のアクセスが減少していることから、礼拝者がアプリを教会の代わりとしてではなく、実際の集まりに加えて使用していることが示唆されていると報じている。

編集=上田裕資

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