2. 場当たり的な「セラピー」を制限する
女性管理職の方が「人を育てる」傾向があるというのは固定観念で、非常に性差別的でもある。とても親切で手厚い支援を提供する男性管理職がこのように表現されることは、どれほど頻繁にあるだろうか?
とはいえ近年の調査からは、女性の管理職は男性管理職と比べ、感情面や精神面の健康問題に対し支援を求められることがはるかに多いことが示されている。この大変な時代に管理職が進んで支援を提供するようになったのは素晴らしいが、本来セラピストがすべき役割を定期的にこなせば疲れ果ててしまいかねない。
仕事よりもカウンセラーとしての役割を果たすことで疲れている場合、この問題について上司に相談すべきだ。これは、女性の労働が男性ほど評価されていない格好の例だ。部下の心の健康を支える管理職に、報酬や賞与を支払う会社はほとんどない。
そこで、職場の相談役になる場合の対処法について指針を作成し、それを決められた勤務時間に組み込むことを議論すべきだ。仕事の一環として遠隔勤務の部下との確認時間を設けることがその一例だ。
報酬が支払われない労働は、女性が燃え尽き症候群に苦しむ大きな原因だ。多くの女性管理職は場当たり的なセラピーだけでなく、コロナ禍で男性よりも育児や家事の大部分を負担することがはるかに多く、勤務時間を減らしたり仕事を辞めたりした女性が非常に多い原因となっている。
3. 育児の課題に対処する
働く母親らは、米国で長年手頃な育児が提供されていないことについて議論してきたが、コロナ禍によってこの問題がさらに加熱している。多くの人がオンライン学習を行う子どもの世話を強いられ、仕事を辞めることになったのだ。
学校が再開しても、感染者数の増加に伴い数百校が突然閉鎖されたことで、こうした元労働者は流動的な状況にある。保育所は労働者を見つけるのに苦労しているため、多くの人が順番待ちの状態だ。
もちろん、これは二者択一の選択ではない。働く母親はパートタイムで仕事を続けたり在宅勤務したりできる。人材サービスを提供するフレックスジョブス(FlexJobs)の最近の調査では、働く母親の半分以上がフルタイムの遠隔勤務を理想の勤務形態と考えている。子どもがいない人でも、境界線を維持する限りは遠隔勤務により職場の多くの問題が解決される。
コロナ禍では、親戚に子育てを支援してもらえる出身地に戻った母親が数千人いた。また中には、起業することにより誰かの下で働いていたときよりもストレスがはるかに減ることに気づいた人もいた。コツは、後になってただ「辞める」と言うのではなく、今の時点で戦略を練っておくことだ。