フィリップ氏がいま力を入れているのが、「ボンボンショコラよりも手軽に持ち運べ、より気軽に、日常の贅沢として食べられる」タブレットだ。実際に、そのフィリングはボンボンショコラと同じものも多い。ライフスタイルの変化に合わせ、食べ方は変えても、本質的な味を守り続ける。そんな老舗の心意気を感じる。
今回のサロンデュショコラでは、限定品の栗のフィリングが入ったタブレットショコラがお目見えする
このベルナシオンも日本のサロンデュショコラに登場するが、その他の注目のブランドについて真野さんに教えてもらった。
ベルナシオンと同じく「地に足のついた」ブランドが、今回初登場となるフランス・ブルターニュ出身のマキシム・フレデリック氏。
フォーシーズンズ・ジョルジュ・サンクのシェフパティシエを経て、現在シュバル・ブランパリのシェフパティシエを務める、まさに若手の注目株。そんな彼が手がけるのが、故郷で家族が営む農場で姉がしぼったミルクで作ったキャラメルとヘーゼルナッツのジャンドーヤが楽しめる、自らのルーツを表現したチョコレートだ。
キャラメルとヘーゼルナッツのジャンドーヤ
筆者は10年以上前からサロン・デュ・ショコラを見ているが、その頃と比べ、社会貢献活動を行っているブランドが多くなった。また南米やアジア、アフリカなど、多様な産地のチョコレートが増えたのが印象的だ。
「産地との協業は、以前から多くのブランドが取り組んでいるが、近年は、ただカカオ豆を高い価格で購入するだけでなく、地元に工場を作るなど、産地での雇用も行うブランドもあり、コンセプトだけでない高品質なチョコレートが増えている」と真野さんは言う。
その一例が、ベルギーの「チョコレートライン」のドミニク・ベルソーネがベルギー王室のミッションをサポートして、コンゴ民主共和国内のヴィルンガ国立公園周辺産のカカオ豆やミルクを使い、現地で作っているタブレットだ。
「ベルギーらしい、ミルク感が感じられるスタイルのチョコレート。味もテクスチャも、クオリティが高く、シンプルに美味しいと思います」
地元の雇用を支えるだけでなく、利益の100%がヴィルンガ国立公園の野生動物保護のために寄付されるなど、社会貢献にも力を注ぐ。真野さん曰く、「おいしく環境に優しい『ダブルハピネス』のチョコレート」となっている。
この他にも、Part1の会期中、イートインコーナーでは、カカオを使ったビーガン料理も提供。「チョコレートと日本酒」「クラフトビールとアシェットデセール」のペアリングも楽しめる。
サロン・デュ・ショコラ2022
会場:伊勢丹新宿店本館6階 催物場
〈Part1〉
TASTE OF CACAO ~広がる、楽しむ、カカオの世界~
2022年1月20日(木)~25日(火)
〈Part2〉
THE ARTISANS ~最高峰ショコラティエの技~
2022年1月28日(金)~2月3日(木)