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2021.12.18 17:00

フランス一の若手コンシェルジュは日本人、そのサービスを受けてみた

ル・ムーリスのコンシェルジュ 木村大介

ル・ムーリスのコンシェルジュ 木村大介

オミクロン株がまだ出現していなかった今年の秋、ヨーロッパ取材の機会を得た。世界のレストラン取材を本業とするうえで、コロナ禍ではさまざまな影響を受けたが、とりわけ困ったのが、フランスの「衛生パス」だった。

条件は事前の滞在地などよっても異なるが、筆者の場合、72時間以内の抗体検査の陰性証明を出さないとレストランに入ることができなかった。取材の合間を見つつ、検査を受けていたが、ある時、フランスの郊外で、検査を受けなくてはならなくなった。フランス政府のウェブサイトでクリニック一覧を見てみたが、土地勘もなく、どこが取材先から近いかもわからない。

「いつでもご連絡くださいね」と話してくれた、宿泊ホテルのコンシェルジュの言葉を思い出して、メッセージを送ってみた。

「明朝ピレネーにフライトなのですが、フライトの後、夕方までに抗体検査を受けないといけなくなりました。どこのクリニックが空いているか教えていただけませんか?」

すると素早くメッセージの返信があった。「調べておきます。フライトの時間を教えてください」

対応してくれたのは、フランスNo.1の若手コンシェルジュ、木村大介さんだ。



翌朝、ピレネー空港に到着して少し落ち着いたタイミングで、木村さんから電話が入る。

「フライトはいかがでしたか? 取材先近くの検査場所が見つかりました」と。アクセスや料金だけでなく、実際に電話をして、今日開いているかどうか、予約状況も確認してくれたようだ。タイミングがよく、スムーズでありがながら、さらに親しみやすさとプロとしての節度がある。気配りあふれるサービスに、温かい気持ちになった。

29歳でナンバー1コンシェルジュに


送迎や各種チケットの手配、特別な日の演出など、コンシェルジュは、ゲスト一人ひとりにパーソナライズされたもてなしを提供する。木村さんが働くのは、芸術家・ダリが愛したホテルとしても知られるドーチェスターコレクションの「ル・ムーリス」。フランスのホテルの最高峰として、極上のもてなしが楽しめる「パラス」の認定を受けたホテルでもある。

フランス生まれ、フランス育ちで、フランス語はネイティブ。木村さんは、ホテルコンシェルジュのプロ組織として長い歴史を持つレ・クレドールフランスと、フランス政府、トゥールーズのホテル学校がパートナーシップを組んで発足したホテルコンシェルジュプログラムの第一期生でもあり、エリートコースを歩んできた。2014年、29歳の時には、その本場フランスで、35歳以下の若手コンシェルジュを決める大会で優勝した。


手にしているのは、大会で優勝した時の賞状。左胸元の2本の金色の鍵の形をした襟章は、レ・クレドールの一員である証
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文・写真=仲山今日子

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