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2021.12.24 11:30

欧州スタートアップの調達額が初の「1000億ドル突破」見通し


ズームの普及でグローバル化が加速


「アーリーステージの資金調達を見ると、欧州は米国と並んで世界全体の3分の1を占めており、スタートアップのパイプラインはかつてないほど強力だ」とWehmeierは言う。

今年は、投資家も大きなリターンを得ており、Atomicoは2億7500万ドル規模のエグジットを行った。米国のSPAC(特別買収目的会社)との合併によって上場を果たした企業が相次いだが、それでも欧州はテック企業のIPO件数で米国を上回った。中古車流通プラットフォームを運営するベルリンのスタートアップ「Auto1」の105億ドル規模のIPOは、今年最大のエグジットとなったが、CazooやArrival、Babylon Healthは、欧州の株式市場での上場よりも、米国のSPACとの合併を選択した。

レポートは、パンデミックによって創業者たちのリモートワークに対する考えが大きく変わったと指摘している。調査対象となった創業者の約50%は、ロンドンやベルリンのように投資家の所在地から近く、テック企業が集積する都市に従業員を配置転換することの重要性が昨年に比べて低くなったと回答している。

ズームの普及によって、創業者が投資家と繋がるハードルが下がったことが1つの要因かもしれない。その一方で、中東欧のスタートアップはVCからあまり支援を得られていない。レポートによると、4月に350億ドルでニューヨーク証券取引所に上場したルーマニアのUIPathのような事例もあるが、過去5年間のVCによる投資実績のうち、中東欧のスタートアップが占める割合は5%に過ぎないという。

編集=上田裕資

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