SAFは2008年に初めて航空業界で使用されてから、世界中で30万本以上の航空便で使用されてきた。しかし、英ロイター通信によれば、そのコストは通常のジェット燃料と比べて最大8倍にも上る。
それでもシェルは、SAFが2030年までに世界の同社の航空燃料売り上げの10%を占めるようになると予想している。同社はオランダ・ロッテルダムに年間82万トンを生産できるバイオ燃料処理工場を建設しているほか、水素とリサイクルされた炭素を原料とした合成SAFも開発中だ。
リチャード・ブランソンの航空会社ヴァージン・アトランティックは2018年、従来型ジェット燃料と、産業廃棄物ガスをエタノールに変換したバイオ燃料の混合を使い、ボーイング747型をフロリダ州オーランドから英ロンドンまで飛ばした。こうした「一度限りの」SAF使用便は何度も運航されていて、バイオ燃料の可能性と問題の両方を示している。航空会社や軍は果たして、ジェット燃料に使えるような使用済み食用油の安定した供給を得られるだろうか?
課題は、持続可能な航空燃料を大量生産できるようにすることだ。そうならなければ、二酸化炭素削減に熱心な乗客さえも、航空券に追加される800%の燃油サーチャージに面食らうだろう。