仮想通貨の情報サイト「トレーダーズ・オブ・クリプト」が英国民を対象に実施した最新調査によると、仮想通貨を安全な投資先と考えている人は全体の5.6%にとどまった。逆にそう考えていない人は3分の2近くにのぼり、残りは仮想通貨がどういうものかすら知らなかった。
最も有名な仮想通貨であるビットコインの価格が過去1年で5倍以上に高騰するなど、一部の仮想通貨がこのところ目をみはるようなパフォーマンスを示しているにもかかわらず、このような結果になった。
個人投資家がパフォーマンスを追い求めたり、価格が上がっている資産は買い増したりする傾向にあることを踏まえれば、この調査結果は投資の世界では異例と言っていい。
一般の人にはなじみ薄いまま
メディアで名前を聞かない日がほとんどないイーロン・マスクのような人でさえ、一般の人々に対する仮想通貨の周知にはあまり役立っていないようだ。
1カ月ほど前、マスクが新しい飼い犬の写真をSNSで共有すると、仮想通貨ドージコインの価格は上昇した。その犬はドージコインのモチーフになっている犬に似ていた。
だが今回の調査によると、4人に1人超はドージコインが何か知らなかった。
また別の人気通貨とされるカルダノの場合、認知度はさらに低くなる。仮想通貨であることを知っていたのはわずか2.8%で、43%の人はそれが何か知らなかった。なかには、チーズや飲料、酒類などの一種と誤解していた人もいた。
一般の人々の間で仮想通貨の認知が広がっていない現状を、投資家は2通りに解釈できそうだ。
まず、過去10年続いてきた仮想通貨をめぐる熱狂とはつまるところ、もともとニッチな商品に対して、比較的少数の個人や海千山千の投資家、あるいは面白い記事になるネタを探し回っているメディア関係者らが興味をかきたてられている状態にすぎない、とみることもできる。これは裏を返せば、仮想通貨は世間ずれした人やセレブらの間でバブルになっているだけであり、もっと面白いものが出てくればたちまちしぼんでしまう可能性がある、ということでもある。
一方で、プラスに捉えることもできる。仮想通貨は、一般の人々によく理解されていないなかでもパフォーマンスが良いのであれば、理解度が上がればさらに良い結果が期待できるはずだ。仮想通貨に入れあげている人たちがその啓蒙や教育にもお金を出せば、まったく新しい投資家たちがこぞってこの資産クラスに流入してくるのではないか。