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自分と雇用主との間で目的や価値観が強く一致していることを大事にする風潮は、ここ数年で高まってきた。組織は変化するものだが、価値観や哲学が全面的に変わることはそうない。だが政治の世界ではそうはいかず、リーダーが変わると目標やその達成方法も大きく変わることがある。

こうした変化は、公務員に大きな影響を与える。例えば、BIノルウェービジネススクールなどの研究チームが行った調査では、政治の変化が欧州委員会(EC)の職員に与える影響が明らかになった。

調査からは、EC職員の態度が、自分の上にどんな政治指導者がついているかによって変わるとみられることが分かった。例えば、リーダーがスウェーデンやオランダなど欧州連合(EU)に懐疑的な国の出身であった場合、職員もEUに対してネガティブな意見を持つようになっていた。

米ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院の研究チームによる別の研究では、このトピックについてさらに掘り下げられている。研究チームは、米国で政権交代が起きた際、新大統領と異なる政治的意見を持つ連邦政府機関の職員にどのような影響が生じるかを調べた。

こうした公務員は、支持政党によって職の安定が脅かされることはほぼない。公務員の仕事は、党派心に根ざした働きかけから保護されている。

研究チームはまず、政治的な意見の不一致が起きる頻度を知るべく、公務員の政治的志向に関するデータを収集。次に、調達担当者に焦点を絞り、政治的な意見の不一致が仕事のパフォーマンスに与える影響を分析した。

興味深いことに、政治的意見の不一致は実際に、パフォーマンスの低下につながるとみられることが分かった。2004~19年の間で、調達担当者と大統領の間で政治的意見の不一致があった際、両者の立場が一致していた時と比べて予算超過が約8%増えていた。

研究チームは「政府が100ドルの契約を用意する場合、最終的な支払い額は通常、112ドルだ。しかし、調達担当者が政権と政治的に異なる意見を持っていると、それが113ドルになる」と説明。「これは非常に小さな違いだが、政府調達は米経済の大きな部分を占めている。こうした小さな差を政府調達セクター全体で考えると、数億ドル(数百億円)になる」と指摘している。

問題の原因は、精神的なものにあるようだ。公務員の価値観が政権と一致している場合、「私がしている仕事は重要だ」「仕事に一層の努力を払うことをいとわない」と思う人は大幅に増えた。

研究チームは「一定の規模の会社ならば、政治的視点は従業員によって、全てが会社と合致するわけではない」と指摘。「こうした政治的な影響が職場でのパフォーマンスにどれほど影響するかは、まだ分からない。しかし、米連邦機関についての私たちの研究からは、同様のことが民間セクターでも起きている可能性が示唆される。これについてのさらなる研究が必要なのは間違いない」と結論している。

編集=遠藤宗生

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