Met Galaは、メトロポリタン美術館のコスチューム・インスティテュート(メトロポリタン美術館服飾研究所)の資金調達を目的として開催される毎年恒例のイベント。このガラのレッド・カーペットでは、展覧会のテーマに合わせたセレブリティ達の「豪華かつ創造性の高いファッション」が注目される。
まるで裸に見えるドレスからコスプレのような衣装まで、例年ビックリするようなファッションが目白押しなのだが、「In America: A Lexicon of Fashion」をテーマとした今回も興味深い装いのセレブが多く登場した。
その中で、ファッション性が高く、かつ強いメッセージを携えた装いを披露したのが、NY州の下院議員アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)だ。
彼女は、真っ白なドレスの背中に、赤く勢いのあるハンドライティングのような文字で「TAX THE RICH(富裕層に税金を)」というスローガンをちりばめ、明確なメッセージを発信した。
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メッセージを際立たせるドレスの着こなし
メッセージ性が高いと「変わったドレス」と思われがちだが、これはなかなか素敵な代物だ。
ドレスの色は、19世紀末〜20世紀初頭に女性の参政権を求めた女性団体「サフラジェット」のシンボルカラーであるホワイト。デザインはシャツドレスがモチーフで、胸元に襟のようなデザインがされている。
膝下から裾に向かっては、シフォン系の異素材が使われ、ふんわりと広がるマーメイドシルエットになっている。体のラインに沿ってセクシーになりがちなマーメイドシルエットも、白シャツの清潔で新鮮な感じに知性が加わって、良いバランスを醸し出している。
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顔まわりも見ていこう。髪はサイドパートでタイトにまとめ、その脇に一輪ピンクの花を挿している。耳元は彼女の象徴とも言えるゴールドのフープイヤリングでシンプルに飾った。
また、メイクはいつも赤いリップのイメージが強いAOCだが、今回は「TAX THE RICH」の文字を際立たせ、それに喋ってもらうことを狙ったのだろう。肌馴染みの良いローズ系の上品なリップカラーを選んでいた。
2019年のSXSWにて。赤リップが印象的なAOC/ Getty Images