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ゴールドマン・サックスによると、新型コロナウイルス感染症対策で導入された米連邦政府の失業給付加算を打ち切られた米国人で、今年末までに仕事に復帰する人は5人に1人弱にとどまる見通しとなっている。一部の議員は打ち切りによって労働市場が活性化すると期待していたが、新型コロナ罹患への不安などから労働力不足はしばらく続きそうだ。

ゴールドマン・サックスのアナリストらは4日の顧客向けリポートで、最近の労働力不足は連邦政府による「気前のよい」失業給付が大きな原因になった可能性が高いと認めつつ、9月の打ち切りによる雇用の押し上げ効果は年末までに130万人ほどと、給付を失った約750万人の2割足らずになりそうだと分析している。

労働力不足が続くと予想されるのは、求人数で測られる労働需要が過去最高となる一方で、人々の求職意欲を失わせている「さまざまな要因のパーフェクトストーム」に見舞われているからだとリポートでは説明している。

最も大きな要因は、新型コロナウイルスへの人々の怖れだ。米政府の最新調査によると、働かない最大の理由として、新型コロナにかかったり、それを広げたりするおそれを挙げている失業者は300万人を超える。8月の650万人に比べると減少しているものの、なお失業者800万人のかなりの部分を占めている。

また、新型コロナ禍中、米国への入国制限などにともない移民や短期就労者に対するビザの発給数が激減したことも響いている。ゴールドマンによると、ビザの交付を絞った結果、米国では労働力が約70万人減ったとみられるという。米国の渡航規制が緩和されたのはごく最近のことだ。

労働力不足にはこのほか、コロナ禍中に早期退職した人が150万人にのぼったことも影響している。加齢のため自然に退職した人も90万人いる。

連邦政府による失業給付上乗せは5月以降、一部の州が相次いで打ち切り、9月5日には制度自体が終了した。共和党ではこの給付について、労働者の求職意欲を減退させ、広範な労働力不足を招いていると批判する声が多かった。

人手不足は米労働市場の回復を遅らせており、一部では生産の遅れや価格の上昇も引き起こしている。ゴールドマンの最近の調査では、中小企業の8割が採用難によって利益が損なわれていると回答している。

米国の新規失業保険申請件数は過去3週間、予想を上回っており、失業給付加算の打ち切りが労働市場の活性化にあまり寄与していないことはここからもうかがえる。8月の非農業部門就業者数も予想を大幅に下回る前月比23万5000人増と、今年1月以降で最低だった。

編集=江戸伸禎

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