ビジネス

2021.10.05 07:00

可能な限り「まるごと食べる」。ミツカンが挑む次なる食のステージ


食の未来を開くブランドへ向けて


ペーストの写真

「おいしい」と「カラダにいい」を実現したZENBだが、「ようやく最初の一歩が踏み出せた」という濱名は、その先のビジョンを見据えていた。

「おいしいや体にいいというのは食品メーカーであればみんな目指すところで、食の普遍的な価値です。ですが、案外それが成立していない。成立させるのは当然ですが、その上に世界観や思いを入れていくことが重要だと思っています」

濱名にとっての思いは、ZENBを通して「おいしいと健康を一緒にした新しい食生活を提案していく」こと。そして、「何のために新しい食生活を提案するのか」と常に問いかけ、社員と共に考える。その問いかけに対して立ち返るのが、ミツカンのフィロソフィーである「人と社会と地球の健康」「やがて、いのちに変わるもの」だ。ZENBの原点でもあり、「ブレてはいけない価値観」だという。

まだ品揃えも少ない。顧客との接点もD2Cのみで限られている。が、課題を解決しながら、食の未来を開くブランドとして「お客様と一緒に新しい食生活を作っていきたい」と濱名は次の一歩へと舵を取っていた。

環境への影響を減らすサステナブルな食生活として世界でトレンドになっている、動物性の食品を消費しない「ビーガン」。あるいは、健康志向の高まりから注目されている小麦を排除した食事「グルテンフリー」。このどちらも叶えているのがZENBだ。世界的な食の流れを先取りする形で展開しているZENBだが、これから向かう先がどこにあるのか注目したい。

文=中沢弘子 写真=西川節子(人物)

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